大規模リストラを断行する企業がある一方で、慢性的な人手不足に悩む中小企業も増えているという。最新の労働経済動向調査(厚生労働省)でも、「正社員が不足している」と答えた企業は「過剰」と答えた企業を15ポイント上回った。なお、これで2011年8月期以降、9期連続で「人手不足」の状況が続いていることになる。
若年層の失業率は高止まりしているのに、企業は人手が足りないという。両者がうまくマッチングしないのはなぜなのか? 若者のための就職応援プログラム「ホンキの就職」の企画を担当する守冨 裕さんは「就職活動に苦戦する若い方に話を聞くと、企業の規模や職種にこだわりすぎて自ら視野を狭めてしまっているケースが少なからず見受けられます。偏った業種イメージが求職者の間で定着してしまっているのも、内定をもらえない若者が多い要因のひとつではないかと思います」と指摘する。なんでも現在の就職戦線は30社受けてやっと1社の内定が出るといわれるほどの狭き門。企業のネームバリューや特定の職種ばかりに固執せず、できるだけ多くの会社に接触することが大事なのだという。
偏った業種イメージを払拭し視野を広げれば、企業は採用の門戸を開いている。それも、まさに今が、求職者にとって内定のチャンスが拡大する絶好期なのだという。
「例年、10、11、12月は求人数と採用数が伸びるタイミングとなっています。多くの企業では9月に人事異動があり、改組後のチームにおける人材の補強ポイントなどが具体的に見えてくるのがちょうどこの時期だからです。また、年内に予算消化したい企業が、求人にコストをかけるタイミングでもあります」(リクルートキャリア中途事業本部の鎮目広昭さん)
では、具体的にはどんな職種が狙い目なのだろうか?
「採用条件によっても異なりますが、医療系の営業職などは狙い目だと思います。特に、ジェネリック医薬品の需要の高まりに合わせて『コントラクトMR』と呼ばれる委託型のMR(※医薬情報担当者)が広がりを見せています。また、2020年の東京五輪に向けたインフラ整備に対応するべく、首都圏の中堅ゼネコンも人材を補強してくるはずです。他にも、ソーシャルゲーム業界のエンジニアは慢性的な人材不足ですし、人材派遣業もここのところ求人が伸びてきています。景気がさらに上向けば、イベント系、PR会社、広告代理店の動きにも期待できそうです」(鎮目さん)
というわけで、転職、就職に向けて動くなら、年内がひとつの山場といえそうだ。
(前田智行/やじろべえ)
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/wxr_detail/?id=20131025-00032799-r25