[ カテゴリー:コラム, 住民安全ネットワークジャパン ]

当事者意識について

私がNPO活動の中で様々な問題に取り組んでいて、いつも問題の根っこにあると感じているものは「当事者の認識不足」です。
たとえば、障害の問題について。
障害の子を持つ保護者達は、自分の子が就学後に進んでいくであろう“福祉の世界”の様子をあまり積極的に知ろうとしていないのが現状です。福祉施設に1~2回程度見学に行くのがせいぜいで、実際に障害者達が福祉の中でどんな問題を抱えながら、どんなふうに暮らし、そしてどんなふうに死んでいくのか?そもそも、福祉の枠組みの中に当てはまっている障害者はまだ幸せなほうで、実際にはその枠組みにすらはめてもらえない障害者達がたくさんいる。
そして、彼らの中には服役を繰り返し暮らしているような人さえいるということを知らない、そういう保護者達はたくさんいます。
問題の認識がなければ、問題解決行動が具体的に起こるはずもありません。
福祉関係者がどんなに一生懸命に取り組んでいても、障害者に関する問題がなかなか改善されていかないのは、当事者である保護者が本気になって改善に取り組んでいないから、福祉関係者に協力していないからであり、その根っこにあるのは、「保護者の認識不足」なのだと、私は感じています。
たとえば、学校の問題について。
先日、ある中学校のPTA役員さんから、こんな相談を受けました。
喫煙、遅刻などを繰り返すほんの一部の生徒がいて、学校側が何度注意しても直らず、とうとう悪影響が他の生徒に波及しだした…とのことでした。
とても難しい問題だと思います。
こういった問題を解決する良い処方箋はありません。
とにかく試行錯誤やっていくしかないと思いますが、一つだけ言えることは、学校側と一部の保護者、つまりPTA役員の力でどうこうできる問題ではないということです。
難しい問題であればこそ、まず保護者全員がそれを認識する必要があって、その上で、皆で協力しながら問題解決に取り組まなければならないのでしょう。なぜなら、PTA役員も、そうでない保護者も、皆同じ当事者同士なのですから…。
子供たちの安全に関して問題を感じた私たちが、まず一番初めに起こした行動は、情報共有活動でした。それが、いまこのNPO活動となって発展している訳です。
市民に対して情報共有活動をしているのは、市民一人一人、全員が当事者だと思うからです。
一人一人が当事者なのだから、情報共有活動の中で何か問題を感じたら…たとえば、「発信をもっと早くしてほしい」「情報をもっと詳しく知りたい」など…それを私たちに要望してくるのではなく、そう思った人が協力してくるべきだと思っています。
当事者同士という同じ立場なんですから、当たり前ですよね!?
最初に問題に気がついた人、より当事者意識の高い人が、当事者意識の低い人の分まで負担を背負うのは馬鹿げています。ましてや、低い人のほうから要求されたりするのは筋が違います。
それと同じことで、
障害の問題で言えば、障害の問題は福祉任せにしていれば良いと考えている保護者達。
学校の問題で言えば、学校内の問題に何にも気が付いていない保護者達。
彼らが当事者意識を持たなければ何の問題も解決しない、と私は思うのです。
世の中一筋縄ではいかない難しい問題ばかりです。
だけど、そんな時こそ、一人で何とかしようとするのではなく、皆で協力し合って解決行動を取っていくべきです。
そのためには、まず情報を隠さず共有することが重要なのではないでしょうか?

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コメント(4)

  1. skymaxです。
    すいません!
    『喫煙遅刻』って何ですか?
    タバコを吸って、遅刻する…と いうことでしょうか?
    保護者の単なる管理不行き届きではないでしょうか? 
    私は保護者と喫煙した生徒に厳罰を与えて欲しいと思います。

    返信

    skymax

  2. 保護者達に厳罰を…って、どのくらいが厳罰になると思いますか?
    私の学区内では、コンビニで中学生が普通にタバコを買えるそうです。
    レジでは「年齢確認が必要です」と言っているはずなのですが。
    本当に難しい問題ですよね。

    返信


  3. 「喫煙遅刻」と妙な書き方をしてしまい、すみませんでした。
    「喫煙や遅刻を」に訂正させていただきます。
    さて、「厳罰を」ということについて。
    それも方法の一つなのでしょうが、、、
    私も中学生のころタバコを吸っておりましたし、遅刻も常習犯でした。
    もしも、その時、厳罰を受けていたら、私は今頃どんなふうな人間になっていただろうか?
    案外何にも変わっていないかもしれないし、まったく違う別の人生を歩んでいたかもしれないし・・・。
    もしも後者だったとしたら、その分岐点になったのは「厳罰を受けたこと」だったかも!?
    悪いことをしたら罰を受けるというのは、当たり前の話なので、それはそれで仕方ないと言えば、仕方ないのでしょうが、
    「厳罰を与える」という行為は、子供のその後の人生を変えてしまうことになるかもしれないのですから、できるだけ慎重であるべきだと思います。
    保護者にしてもそうです。
    自分の子供が喫煙しているという事実を知っていても何も注意しない…傍目にはそう見えても、ご本人たちは実はもの凄く苦しんでいるのかもしれません。
    そんな保護者に厳罰を与えても、ただ追いつめるだけ。
    実際のところは、「子供の喫煙くらいどうってことないわ」って思っている人なのかもしれませんがね。
    いずれにしても、厳罰を与えるという行為で、事態が好転するかというと、決してそうではないような気がします。
    私が記事中で言いたかったのは、
    厳罰を与えるという判断を出すにしろ、どういう対策を取るにしろ、できるだけ大勢の人たちで問題意識を共有して、できるだけ大勢の人たちの知恵を絞って考えるべきだ、ということです。
    学校と一部の保護者(PTA役員)だけで事を上手く収めようと思ってほしくないです。
    それは結局のところ、大した解決にはならないのだろうと思いますし、自己満足で終わってしまうのではないだろうか!?とも思うわけであります。

    返信

    笠井/住民安全ネットワーク

  4. 潤さん、笠井さん
    私の考える厳罰とは、少なくとも『警察ざた』にすることです。
    販売店側が警察に 未成年者にタバコを販売した事実が発覚したら、ただではすみません。
    最悪の場合、タバコ免許剥奪させられます。
    コンビニの場合、廃業になる場合があります。
    しかし、当の本人たちはお咎めなし…これが今の法律です。
    おかしくないでしょうか?
    喫煙する中学生、それを見逃す保護者。
    …私は断じて、許しません。
    人に迷惑をかけないように生きるようにして欲しいと思います。

    返信

    skymax

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