国土交通省北陸地方整備局(新潟市)が今年から、県や市町村が道路や橋などを点検・補修する際の支援に力を入れている。技術講習会や勉強会を開催したり、専門の相談窓口を設置したりして、自治体の人員不足や技術力不足を補うのが狙いだ。(米川丈士)
今月1日、三条市上須頃の信濃川に架かる国道8号の三条大橋の下に、県と9市町村の土木関係職員17人が集まった。同局が実施する橋の定期点検で、ノウハウを学んでもらうための技術講習会だ。
参加者は4班に分かれ、高所作業車や特殊な橋梁(きょうりょう)点検車へ。指導を受けながら、コンクリートをハンマーでたたく打音検査などで橋の傷み具合を確認した。
参加した刈羽村建設課の山本英樹さんは、「参考になった。村で点検結果の報告書を確認する時などに役立てたい」と話した。
同局は一昨年から、こうした技術講習会を管内で年数回実施してきた。今年からは対象を橋だけでなく、道路の舗装やのり面の点検にも広げる予定で、国が持つ様々な技術を自治体に「伝授」していく考えだ。
国交省は昨年12月の中央自動車道・笹子トンネルの天井板崩落事故を機に、道路などの点検を強化し、今年を「メンテナンス元年」と位置づけた。同局はこうした流れを受け、今年4月と8月、県内自治体の職員を集めた勉強会を新潟市内で実施。10月には3回目の開催を予定している。
7月には、同局企画部に自治体からの総合相談窓口を新設した。これまでは、道路、河川、港湾の老朽化対策に関して個々の部署で相談を受けていたが、窓口を一本化し、自治体側の利便性を図った。
自治体では、技術を有するベテラン職員の退職や新規採用数の減少などにより、人員不足・技術力不足が問題となっている。
国のまとめでは、県と新潟市が管理する長さ15メートル以上の橋のうち、1160か所で修繕が必要とされているが、4月現在、修繕が終わったのはそのうち48%にとどまる。同市以外の市町村では、949か所の橋で修繕が必要だが、こちらはわずか2・2%しか終わっていない。
勉強会などでは自治体側から、「技術者が不足しているので人的な面で支援してもらいたい」「財政面での支援が必要」といった声が寄せられているという。同局地域道路課の村下剛課長は、「今後も継続的に自治体の点検を支援していきたい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20131018-OYT8T01182.htm