和菓子や洋菓子を買うだけでなく、菓子製造の見学や体験ができる県内初の複合施設が26日、新潟市北区にオープンする。県内で「菜菓亭(さいかてい)」ブランドの菓子を製造・販売する「いえい」(家井凡之(いえいひろゆき)社長)が仕掛ける「おかしの里 菜菓亭いえい 嘉山店」で、同社は、自社ブランドをアピールして、低迷が続く菓子市場活性化の一翼を担いたいと意気込んでいる。
おかしの里は、和菓子と洋菓子をそれぞれ販売する2店舗と小豆を使った菓子を売る「あずき茶屋」からなり、3施設の延べ床面積は約390平方メートル。約2億円を投じて同社の工場跡地に新設した。
木造の和菓子店は、古民家の部材を生かし重厚感漂う建物に仕上げた。蒸したカステラ生地であずきクリームを包んだ主力商品「河川蒸気(かせんじょうき)」や新潟産米粉を使った「お米のサブレ」などを販売。2階には、来場者が菓子を食べながら交流できる約30人収容のフリースペースを設けた。
和・洋菓子の2店舗には工房を設け、ガラス越しに職人やパティシエが和菓子やケーキなどを作る様子を見学できるようになっている。来春にはプロに教わりながらケーキなどを作る体験企画もスタートする予定だ。
新事業の背景に、菓子を贈答品とする習慣が薄らぐ傾向への危機感がある。コンビニエンスストアが企画した低価格ブランドの台頭も脅威だ。家井社長は「苦労と手間の結晶である菓子の製造体験を通じて、食べる喜びをより実感してほしい」と強調。自社製品の差別化にも結びつけたい考えだ。
年商約10億円の同社で、河川蒸気は24年度の売り上げ244万個、約3億円を占める看板商品。今回の開店を弾みに400万個、5億円に引き上げ、新潟初の全国区ブランドに育てることもめざしている。
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