平日の混み合う通勤電車や渋滞した高速道路で数百万の人々に紛れた珍しい生き物とは――。それは、満ち足りた通勤者だ。
完璧な通勤スタイルを得るにはどうすればいいか。少数の幸せな通勤者を見つけ出して聞けば、それは単に通勤時間の長さの問題ではないと言うだろう。人は最長45分間までなら通勤時間を苦にしないことが研究で分かっている。また、女性より男性の方が長い通勤時間に対する不満が少ない。だが、幸せな通勤とは、まず所要時間が予測可能であること。生産的であること(これには携帯機器や衛星ラジオが役立つことが多い)。それに、面倒な通勤に対して明確な見返りがあることだ。片道1時間をかけて通勤している人が職場の近くに住んでいる人と生活面で同じ満足感を得るためには、その人よりも40%多く稼ぐ必要がある。スイス・バーゼル大学の経済学教授アロイス・シュトゥッツァー氏が共同執筆した研究で分かった。
マイク・ベネラブルさん(51)はオハイオ州メイソンから仕事場のあるシンシナティまでの車での通勤時間を30分から45分に収めるようにしている。早朝ミーティングがなければ渋滞が終わるまで待ち、スターバックスでカフェイン半分のミルク入りコーヒーをグランデサイズで飲みながら仕事を始める。渋滞情報に注意し、走行ルートを変え、必要であれば裏通りを走る。ベネラブルさんはシンシナティ本拠の投資グループ、シンシィテクでマネジングディレクターを務める。車で自宅に向かう際は、ハンズフリーの電話を使い、カントリーミュージックを流したり、西海岸の顧客とのスケジュールを調整するために「あまたの電話」をかけたりする。
自宅の車寄せに駐車した後も話し続けることがある。11歳から13歳の3人の子供たちが窓の向こうから見つめていてもだ。ベネラブルさんは「究極の通勤者――通勤時間が本当に好きな人――とは私のような、車寄せに止めて車外に出ることなく20分も会話を続けるような人だ」と話す。
http://news.goo.ne.jp/article/wsj/life/medical/wsj-20131015-01.html