[ カテゴリー:生活, 食育 ]

餌にかんきつ系果実「フルーツ魚」 生臭さ抑え「魚離れ」食い止め

「フルーツ魚(さかな)」を知っていますか? 刺し身やすしでの変色を抑えるため、餌にかんきつ系の果実を混ぜて育てた養殖魚のことで、西日本を中心に研究開発が進められている。ミカンやカボスなど地域の特産品を使うことでブランド魚としての地位を確立しつつある。(村島有紀)

ミカン、レモン、ユズ…。脂ののったブリやカンパチの見た目は普通と変わらないが、口の中に入れてかみしめると、ふんわりかんきつ系の香りが広がる。

回転すしの全国チェーン「無添 くら寿司」(堺市中区)では昨春、愛媛県の養殖魚「宇和島みかんぶり」を使ったにぎり(一貫105円)の販売を開始。2週間の体験販売の期間中、通常のブリの2倍近い売り上げがあった。このため、昨夏は販売期間を2カ月に延長して提供した。

その後は、高知県のユズブリやレモンブリ(レモンは和歌山県産)なども期間限定で販売。「フルーティーフィッシュ」と名付けてシリーズ化したところ、同店の看板商品の一つになった。11月上旬からは同店で初めて徳島県のスダチブリを販売する。

同社の広報担当、辻明宏さん(39)によると、フルーツ魚は養殖魚特有の生臭さがないことから、魚が苦手な子供たちにも好評。「私の小学6年と3年の娘たちもネーミングにひかれ、これまで食べなかったハマチやブリを食べるようになりました」(辻さん)

◆特産品を利用

特産品の活用も盛んだ。もともとフルーツ魚は、魚の変色や臭みを防ぐため、養殖漁場で始まった。動物性タンパク質を食べる魚に植物性の餌を与え過ぎると肌荒れや消化不良を起こすため、できるだけ魚体に影響を与えず、魚臭さを抜く果実の配分と与えるタイミングが鍵を握る。

大分県農林水産研究指導センターでは平成19年頃から、同県の特産品カボスを使った養殖魚の餌の開発を開始。ブリの餌になる小魚のミンチに数%の割合で、粉末状にしたカボスの皮や果汁を混ぜて魚に与えた。

その結果、カボスに含まれるポリフェノールやクエン酸などの抗酸化作用で「血合い」と呼ばれるブリの赤身部分の変色防止効果を確認。魚の体からは、かんきつ系の果皮に多く含まれる香り物質「リモネン」も確認された。

しかし、実際に香りを感じるかどうかは、魚の個体差とともに食べる側の差も大きいという。研究に携わった同センター主任研究員、木藪仁和さんは食べても香りを感じなかったが、アンケートでは「クセがなくて食べやすい」「さっぱりしているから、いくらでも食べられる」という反応があったという。

注文を受けてからの生産が可能で、販売計画が立てやすいことも広がりの理由だ。4年ほど前からフルーツ魚の養殖を開始した高知県は9月から、特産品のかんきつ類「直七(なおしち)」を使ったカンパチの養殖を新たに開始。11月頃から同県のブランド魚として売り出す予定だ。

「香りをつけるというより、魚臭さを和らげる効果が目的。高付加価値の魚を提供することで女性や子供たちの魚離れを食い止め、県としても相場の変動を受けない安定した市場を確保したい」と、同県漁業振興課の土井聡さんは話している。

■フルーツ魚の主な販売予定

【愛媛県】ミカンブリ 全国の「無添 くら寿司」で11月上旬まで。

【大分県】カボスブリ 12月1日から「梅丘寿司の美登利(みどり)総本店」(東京都)。そのほか、11~3月頃、関東や関西の百貨店など。

【徳島県】スダチブリ 県内の量販店と11月上旬から「無添 くら寿司」。

【鹿児島県】ユズを餌に混ぜたブランド魚「鰤王(ぶりおう)」 12月頃から関東、関西の魚市場に出荷予定。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20131015517.html

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