僕らが子供だった頃、日本の男たちは今ほど美容に関心はなかった。髪型やファッションも今ほど洗練されていなかったし、肌の美しさを気にする人も決して多くはなかったはず。だが現在、男性はどんどんキレイになり、スキンケアに気を配ることも常識化しつつある。そんな日本人男性の美意識って、世界的に見るとどんなレベルにあるのだろう?
「男性の美容意識は時代や文化によって大きく変わりますが、諸外国と比較しても現代日本の意識の高さは世界トップレベルですよ。特に今の10~20代の男性たちは、男性がスキンケアをしたり、より美しくなろうと努力したりすることに関して“タブー”の感覚がほとんどありません。その要因として、同世代の女性からの批判が少ないことが理由のひとつでしょう。男性美容を社会がどこまで許容するかは、女性がアクセルであり、同時にブレーキの役割も果たすと言えますね」
とは、スキンケアやメンズコスメに詳しい男性美容研究家の藤村岳さんだ。確かに、若い世代の女性には、メンズビューティーに好意的な人が多いかも。
「国別の特徴でいうと、男性美容が大衆的に広まっているのが韓国。とにかく整形手術を受けるハードルが低く、30歳前後の男性でも美少年風のかわいい顔に整形するのが流行りですが、一方で体は筋肉質に鍛えることでギャップを演出するのが好まれるお国柄です。寒さでキメが整っているせいかもともと肌がキレイな人が多く、スキンケアやコスメより“整形”でパーツをいじる方が人気という風にも考えられますね。お隣の中国でも、ハイクラスの人々のあいだでは海外で整形手術を受けるのが流行しています」
日本と同じ東アジアの様子も気になるけれど、それ以外の国の男性たちはどうしているの?
「欧米でもエリート層ほど外見を重視する傾向があります。メイクや整形までするかは別としても、欧州の国々にはフレグランス文化が根付いていることもあって、コスメに対する抵抗感は薄いといえるでしょう。実際、ここ数年でスキンケアの意識は急速に高まっているようです。また、最近インドの男性の間に“美白ブーム”が到来しているのも面白いですね(※編集注:歴史的に白い肌は上位カーストの証とされている)。外見にこだわりをみせることは、“日々の生活に追われていないこと”をアピールする手段という側面もあるのでしょう」
それぞれの国にそれぞれの理由がありつつも、美容に対する意識はどんどん変化していくもの。美容意識が高まってきている流れに乗っていくには、我々男性にもそれなりの努力が必要といえそうだ。
(呉 琢磨)
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