Inc.:働く場所も時間も決まっているようなひと昔前の職場の定義は、技術の進歩によってずいぶんと変わってきました。もはや仕事において場所を問わない時代が来ています。
ここ数年、在宅勤務、フリーランス、クラウドワークといった働き方が増加してきました。また、夕食を食べるお店の予約を会社からしたり、夕食を食べているテーブルから電話会議に参加したり、仕事とプライベートの境界も曖昧になってきています。
仕事のルーティン化が減少するにつれ、より仕事の成果が重視されるようになり、仕事の成果を元に考えた共同作業が増えてきています。このような時代の流れは、コワーキングスペースの台頭というかたちで表れています。「DeskWanted」の最近のレポート(PDF)によると、2011年2月には703を数えるのみだったコワーキングスペースの数は、2013年2月には2498件に増えたのだそうです。この2年間で、これほどまでに増加した商業不動産がほかにどれだけあるでしょうか?(Top Image captured from this video via YouTube, Google for Entrepreneurs: Campus London)
コワーキングは、共同でテナントを借りるという理に適ったモデルとして拡大しています。サービスは「ソフト」から「プラットフォーム」へ、そして今や「オフィス」も幅を拡げてきました。その背景を、サンフランシスコを拠点とするコワーキングスペース「RocketSpace」のEryc Branhamさんは、次のように説明しています。
ポートランドで15人規模の会社を起業しようと思ったら、3000平方フィート(約278平方メートル)のオフィスを探さなければなりません。経済的に見ても合理的ではありませんし、かなり気が散るようになります。さらには、賃貸交渉に時間を取られたり、オフィスの内装やITインフラを整備したりする必要も。しかし、本当にそんなことが必要なのでしょうか? もはや既存の商業不動産モデルは崩壊しています。
コワーキングの進化
コワーキングスペースが増加するにしたがって、その中でのヒエラルキーも現れてきました。一番基本的なレベルでは、机とイスと電源とインターネット接続が必要です。シェアオフィスのようなものの中には、90年代スタイルのボックス型オフィスもあります。次のレベルは”愛と尊重”タイプで、オープンで斬新なフロアプランの共同スペースに、エナジードリンクが詰まった冷蔵庫が置いてあるようなところです。
ヒエラルキーの最上位は、前述のRocketSpaceやGoogleの「Campus London」のような、選ばれたコミュニティがあり、そのオフィスの居住者同士が交流しやすいようにデザインされているモデルです。Branhamさん曰く、RocketSpaceはプログラムを加速し、MicrosoftとAmazonのようなパートナー起業からのリソースもあり、魅力的な才能に対する援助や資金調達もある、”イノベーションキャンパス”なのだそうです。
Campus Londonの代表であるEze Vidraさんによると、Campusからは毎週1000人以上の起業する人が排出されています。その結果、急速にLondonのテックシーンの中心地になっていき、この周辺の倉庫を改装したコワーキングスペースや、型破りなベンチャー起業のオフィスがさらに増えています。
このようにコワーキングは、机とイスが並んでいるものから、共同作業をするワークスペース、選ばれしコミュニティへと進化し、会社や社員がいつどこでどのように仕事をするか、ということの変化につながっています。あらゆるものがオンラインに移行し、雇われて時間や場所をある程度拘束されて働くという形態から、自営業や独立して働く方向へと大きく変わっていっています。これからは、物理的な制約が無くなると、企業がコワーキングやそれに似たような働き方を認め、コラボレーションや共同作業が増え、仕事の成果が重視されるようになるでしょう。
Why Coworking Is on the Rise|Inc.
Matt Cooper(訳:的野裕子)
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/adminhr/lifehacker_35144.html