先日のオリンピックの開催地決定のプレゼンで、滝川クリステルさんが「お、も、て、な、し」と言っていた、あの表情と動作は相当に印象的でした。日本人としては、「どうしてあのキーワードだったかなぁ」としばらく疑問に思っていたのですが、偶然にも『リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ』(高野登/角川書店)を発見。
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リッツ・カールトンに30年間勤め上げた著者のフィロソフィーを様々なエピソードから追体験するうちに、「おもてなし」とは日本人が世界最高水準を誇る感覚とスキルなのだと実感、あのキーワードは正しかったのだと再確認した次第です。とはいえ、こんなにもコミニュケーションツールが発達した現在だというのに、実は「おもてなし」に必須の「相手の気持ちに立って考える」ということがどんどんへたくそになっている私たち。著者高野さんの名刺には点字が打ってあると。その時点でもう違います。
どうしたら心からのおもてなしをできるのか。それを日々研鑽してきた著者は「自分のものさしを捨てること」が必要と説きます。ホテルの窓からジェット機が欲しいという客に、どう対応するのか。「阪神がぼろ負けした理由を教えてよ」という客にどう返事をするのか。その返事をするまでにホテルマンとしてどんなことができるのか。夜食のきつねうどんが朝食時間には食べられないという客は、クレーム客ではなく、「私にお金を使わせてください」と言っているサインという見方をするというくだりもスゴい。社長がトイレをピカピカに掃除する会社のエピソード。リッツ・カールトンでは社員がそれぞれ自己判断で使える2000ドルの決済権があるという話。
目から鱗の発想ばかりで、安易な自己啓発本よりよっぽどやる気にさせられます。改めて人との関係を見つめ直すきっかけになるかも。プロの言葉は深く、重いです。ビジネス本ではなく、人生本かも。読後の痛快感も◎。おススメです。
文=ワイコブ
(ダ・ヴィンチ電子ナビ エディターレビューより)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131011-00002983-davinci-ent