■異業種からの参入も相次ぐ
社団法人日本電球工業会の調べによると、2009年度には328万個を出荷し、10年には1040万個へと急拡大した国内のLED電球市場は、11年には1800万個、12年には2400万個へと、さらに拡大することが見込まれている。
しかも、10年における国内家庭用電球では、電球型蛍光灯の57%、白熱電球の38%に対して、LED電球はわずか5%に留まっており、12年度予測でも19%という構成比。まだまだ拡大の余地があるといっていいだろう。
富士経済の発表によると、LED電球の市場規模は10年には151億円だったものが、20年には345億円に拡大。また、LED照明関連製品全体では、10年の865億円の市場規模から、20年には3180億円と3.7倍の市場規模に拡大するとみられている。
東日本大震災の影響や、福島第一原発事故により、節電に対する要求が高まるなかで、省電力を実現するLED電球に対する注目度は日増しに高まっている。
資源エネルギー庁が発表した家庭内における消費電力量の内訳では、照明の消費電力は、冷蔵庫と並んで第2位に位置づけられており、家庭内の約16%の消費電力を占めている。照明を省エネ化することが、家庭内のエネルギー消費を削減することにつながり、ひいては増え続ける家庭からのCO2排出量を削減することにつながるのだ。
一般的に、LED電球は白熱電球の5分の1程度の消費電力ですみ、さらに白熱電球の40倍にあたる4万時間の利用が可能だ。4万時間は1日10時間利用しても、10年以上交換が不要という長寿命。また、LEDは調光機能や調色といった利用も可能で、これまでの照明器具にない楽しさを演出することもできる。
白熱電球に比べて製品単価が高いこと、白熱電球に比べてやや暗さを感じるなどの課題もあるが、それらも技術進歩によって少しずつ改善されている。
家庭用LED照明では、白熱電球の生産停止を発表した東芝ライテックをはじめ、パナソニック電工、シャープが国内市場でしのぎを削る一方、三菱電機オスラム、日立アプライアンス、NECライティングなどの大手メーカーに交じり、コイズミ照明など中堅企業や、リコー、岩崎電気、大塚商会のように異業種からの参入、低価格路線の海外ベンダーの参入も相次いでいる。
シャープでは、住生活グループとの提携によって、省エネ住宅設備のひとつとして同社ルートを活用するといった動きも出ている。
家庭用LED電球市場だけではなく、企業向けのLED照明や、街路灯や電光看板などといった業務用途でのLED採用においても、今後は市場の急拡大が見込まれており、当面は大幅な成長が期待される。
だが、その一方で一定の普及段階に到達した15年以降は、LEDの特徴である長寿命が影響し、買い替え需要が停滞。成長率が鈍化するのではないかとの見方も出ている。
大河原克行=文 ライヴ・アート=図版作成
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131007-00010664-president-bus_all
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