本格的な冬の到来を感じる今日このごろ。周りにはせきをしたり、体調不良で会社を休んだりする人も…。そういえば、一般的に寒くなると風邪を引きやすくなるといわれているけど、改めて考えてみると“寒さ”と“風邪を引く”との関係はよく分からない。医療ジャーナリストにして医学博士の森田豊先生、教えてください!
「風邪の病原は、80~90%が約200種類あるウイルスによるもので、インフルエンザも同様です。その多くは、気温が15℃以下になると活発に働くという性質があり、また、湿度が40%以下になると空気中を漂う時間が長くなるので、寒くなると風邪を引きやすくなるのです。また、体温が平熱より1℃下がると、体内で病原と戦う白血球の機能が30%低下するといわれていることからも、寒い季節は風邪を引きやすいといえるでしょう」
森田先生いわく、なかには高温多湿な環境に強い、夏に活発化するタイプのウイルスもあり、例えば夏場は下痢しやすく冬は喉が痛くなりやすいなど、季節によって風邪の症状に違いがあるのは、感染したウイルスが違うからとか。でも、多くのウイルスの性質上、寒いほうが風邪を引きやすいというなら、北国のほうが南国よりも風邪を引く人が多いってこと?
「人口やウイルスの流行状況など様々な要因があって一概にいえないのですが、例えば国立感染症研究所が発表した2009年のインフルエンザの都道府県別統計によれば、北海道や東北の患者報告数と九州や沖縄の患者報告数に著しい違いはありませんでした。よって、寒い地域のほうが風邪を引きやすいとは限らないようです」
地域によって明瞭な差が出ないことに関する森田先生の見解として、北国は体温が下がらないよう相応の寒さ対策をしていることや、人間が本来持っている環境適応力が関係しているのではないかとのこと。人間の体ってなんとも不思議ですね。
(中山秀明/GRINGO&Co.)
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