体をお休みモードから活動モードに切り替えて1日を元気に過ごすために、朝ご飯はとっても大切。
必要なエネルギーを補給しつつ、太りにくい体を維持するには、朝ご飯で大麦をとるのをお薦めしたい。
効果のカギを握るのは、大麦に含まれる水溶性食物繊維の「β-グルカン」。世界が認める健康成分だ。
「朝は1分でも長く寝ていたいし、起きてから出かけるまではバタバタ。つい朝食を抜いてしまう……」というような人、少なくないのでは? 朝食を食べない人の割合は年々増加し、20代や30代の女性では2~3割を占める。あなたもそうなら要注意。朝食を抜くと、体が完全に起きていない状態で1日が始まり、さまざまな不調を引き起こす原因になることも。
「体には、生体リズムを調節する“体内時計”が備わっているが、これを正しく働かせるためには、朝の光と朝食が大切」と話すのは、早稲田大学の柴田重信教授。
全身の司令塔となる脳は朝の光で目覚めるが、心臓や肺、肝臓、腎臓など、あらゆる臓器にも固有の体内時計があり、これらが目覚めるには朝食の刺激が必要だという。
「例えば脂肪の合成や分解、糖の吸収や利用にかかわる体の仕組みにもリズムがある。リズムがおかしくなった状態が続くと、肥満や生活習慣病につながる」と柴田教授。実際、朝食を食べない人に肥満が多いことを示す研究もある。
●朝は大麦で繊維を!
では朝食として、何を食べるのがいいか。大妻女子大学の池上幸江名誉教授は「現代の日本人に最も足りない栄養成分といえる食物繊維が効率的に補える、大麦を食べてほしい」と薦める。
「食物繊維といえば野菜では?」と思う人も多いだろうが、食物繊維には不溶性と水溶性があり、野菜やほとんどの穀類に多いのは不溶性食物繊維だ。一方大麦は、他の食材ではなかなかとれない水溶性食物繊維を多く含んでいる。「大麦の水溶性食物繊維の大半を占めるβ-グルカンで、現代人の不調の改善に役立つ多くの効用が認められている」と池上名誉教授。しかもこれを、朝食でとることに大きな意味がある。
なぜβ-グルカン? なぜ朝食で? 詳しくは次回から!
この人達に聞きました
柴田重信さん
早稲田大学 先進理工学部教授 九州大学薬学部薬学科卒業。薬学博士。九州大学薬学部助教授、早稲田大学人間科学部教授を経て、2003 年から現職。専門は生理学、薬理学など。食事や運動が生体リズムに与える影響について研究。
池上幸江さん
大妻女子大学 名誉教授 大阪大学薬学部卒業。国立健康・栄養研究所食品科学部長を経て大妻女子大学教授。2010年4月から名誉教授。国立健康・栄養研究所名誉所員も務める。食物繊維の機能性に詳しく大麦研究の第一人者。
構成・文/小山千穂(チャンゴ・ジャパン) 写真/小林キユウ スタイリング/大沼 静 ヘア&メイク/下條リカ
モデル/美帆
日経ヘルス 2013年11月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131002-00161902-health-hlth