教育再生会議第3次提言である「これからの大学教育等の在り方について」の中では、「大学入試においてTOEFL等の外部試験の活用」についても提案されている。このことによって、どんな変化が持たされるのだろうか。ベネッセ教育総合研究所 主任研究員の加藤由美子氏に伺った。
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TOEFL等の外部検定試験を大学入試で活用するということは、政府が英語の4技能(聞く・読む・書く・話す力)を問いたい意図を持っていることを示します。これにより、これまで入試で問われることのなかった「スピーキング=話す」力を大学入試で問われる可能性が出てきました。大学入試で英語のスピーキングテスト導入が5~10年後ぐらいに実現するとなれば、今の中学生以下のお子さんはその準備をしておいたほうがよいでしょう。
中学校・高校6年間も英語を学んだにもかかわらず、多くの日本人の大人が英語を話せない現実があります。現行の中学・高校の学習指導要領外国語編には、4技能の育成が目標として示されています。しかし、実際の授業は依然として文法や語彙(ごい)の指導と「読む・書く」活動が中心で、「聞く」「話す」力を育成する指導があまり行われていないようです。学習指導要領では4技能の育成を目標としているのに、入試にスピーキング力を問うものがないために、授業でも定期テストでもスピーキングは行われていないのです。しかし、大学入試を英語の4技能を問うものに変えれば、中学・高校で「話す」力を育成する指導がもっと行われるようになるかもしれません。テストが絶大な影響力を持つ日本では、入試を変えることで、逆に使える英語力をつけることへと指導が変わることも期待されます。
スピーキング力を向上させるには、指導方法、テストの作り方や評価の仕方など整備するべきさまざまな課題があります。リーディング、ライティングなどの指導や評価の仕方には長い研究の歴史がありますが、スピーキングに関しても、もっと研究されることが必要です。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/benesse-9531.html