80歳までに3人に1人はかかる身近な病気「帯状疱疹」。しかも、その患者数は15年前と比べ、およそ4割も増えています。重症化すると神経が傷ついて痛みが残ったり、顔面まひといった合併症を引き起こす場合もあります。最も重要なのは早期発見で、発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬服用すること。しかし、発疹よりも先に現れるという気づきにくい痛みから、四十肩やぎっくり腰、心筋梗塞や腸閉塞(へいそく)などと誤解し、治療が遅れるケースが多いのが現状です。
そこで番組では、早く気付くためのチェックポイントから、痛みが残った人のための最新治療法までお伝えしました。また帯状疱疹を発症させないための、とっておきの対策についてご紹介しました。
■発症しないための、とっておきの対策
帯状疱疹にならないための、とっておき対策とは、水ぼうそうのワクチン接種です。
水ぼうそうのウイルスと、帯状疱疹ウイルスは同じ。そのため、水ぼうそうのワクチンを打つことによって、帯状疱疹の免疫力が上がるといわれています。費用は、任意接種のため1万円程度かかります。また帯状疱疹にかかりにくい人として、保育士さんは、年齢を問わず、免疫力が強い事も判明。水ぼうそうの子どもと接し、体内に水ぼうそうのウイルスが入ると、免疫細胞が増えるため、帯状疱疹にかかりにくいと言われています。
※ワクチン接種を希望される方は、まずは地域の皮膚科へご相談ください。
ほとんどの皮膚科では、ワクチン接種を行っていますが、事前の予約が必要となります。
■最新治療で痛みから脱出?!
現在、帯状疱疹後の痛みの治療は、劇的な変化を遂げています。2年前に神経障害性疼痛の治療ガイドラインが制定され、神経の痛みの信号を抑える新しい薬が登場した事をはじめ、これまで帯状疱疹後の痛みで悩んでいた人でも、薬で改善する可能性が出てきました。
さらに番組では、まず薬の治療後、超音波を使った神経ブロック注射で、痛みがさらに改善した男性のケースを紹介しました。超音波を使った神経ブロック注射とは、痛みの信号を出している神経を見ながら、安全にかつ、確実に麻酔薬を注入できる治療法です。
男性の場合、腕に帯状疱疹を患い、腕の発疹が消えたあとも神経が傷ついていたため、痛みの信号が脊髄、脳へと伝わっていました。そこで超音波を使った神経ブロック注射で、手から送られる痛みの信号を確実に遮断。すると痛みの信号が来なくなった脊髄の神経は痛みを伝える必要がなくなったと判断し、痛みの信号が脳に過剰に伝えられることがなくなるというものです。また、この治療法により、帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげられる可能性のある部位は、上肢、下肢、お腹と腰と、まだ非常に限られています。
※「超音波を使った神経ブロック注射」を受けられるのは、全国で数か所のみとなります。
※帯状疱疹後の痛みでお悩みの方は、まずは地域の皮膚科やペインクリニックへご相談ください。
出演者:本田まりこさん(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 皮膚科教授)
●著書
・『帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本~正しい予防と治療~』(法研)
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