ネットの普及で、ますます扱いが難しくなっている「著作権」。「音楽や小説などを盗用したら著作権侵害で訴えられる!」ということは、みなさんもご存じだとは思いますが、なかには解釈が難しいものもあります。
たとえば、「料理のレシピ」や「算数・数学などの問題と解答」。前者は、ちょっとネットで検索しただけでも、似たようなレシピがたくさん出てきます。スタンダードな料理のレシピなどは、事実上「まったく同じ内容」にならざるを得ないので、当然といえば当然の話。後者についても、たとえば「計算ドリル」の問題と解答などは、同じ内容になるのは言うまでもありません。
では、レシピ本や算数ドリルには、著作権が認められていないのでしょうか…?
答えは「NO」。「レシピ本」や「算数ドリル」にも著作権は認められると思ったほうが良いでしょう。ただし誤解しやすいのですが、「料理手順としてのレシピ」や「計算ドリルの問題(ex.5+2=7)」そのものには、原則として著作権が認められていません。
なぜなら、著作物に該当するためには、「創作的に表現されたもの」である必要があり、誰が書いてもほとんど同じになるものについては保護されていないからです。
書籍として説明の表現に工夫がこらしてあったり、写真を付けてみたり、見やすく編集されていたりすれば、立派な著作物といえるでしょう。実際に刊行されているレシピ本は、「彼氏のための手料理レシピ集」とか「子どもが喜ぶキャラ弁」なんていうように、それぞれ独自の編集がされているので、もちろん著作権が認められます。
一方、「計算ドリル」についても、問題の配置や構成などに創作性が表れているのであれば、著作物にあたるでしょう。
ちなみに、小説や漫画を無断でコピーしたりすれば、著作権侵害にあたるのは、なんとなくわかりますよね? では、著作物であるレシピ本を見て実際に料理を作って販売したら、著作権侵害にあたるのでしょうか?
これは著作権侵害にはあたりません。なぜなら、レシピという「表現」のもとになっている調理方法そのものは「アイデア」に過ぎず、アイデアを具現化することは著作権者だけに認められている権利ではないからです。
著作権法は「アイデア」ではなく「表現そのもの」を保護するという大原則があります。たとえば、「未来から猫型ロボットがやってきて、便利な道具を出してくれる」というアイデアを使ってマンガを描いて出版しても、イラストやストーリーが独自のものであれば、問題はありません。
同様に、「アイデア」であるレシピを使って料理を作り販売しても、著作権侵害にはあたらないのです。
ただし、アイデアを保護する法律として、「特許法」や「不正競争防止法」といった法律があります。
レシピの中でも「秘伝のレシピ」のようなものは、「不正に営業秘密を取得したり利用したりしてはならない」という不正競争防止法の定めにより守られています。
じゃあ、どこから先が「秘伝のレシピ」にあたり、どこまでだったら「一般的なレシピ」なのか…というあたりになってくると、人によって“解釈”が変わってくるので、一概には言い切れません。ネット上に多様な情報が出回るようになりつつある昨今、このあたりの線引きはますます難しいものになっていくことが予想されます。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130907-00000003-rnijugo-life