新学期の始まりは、クラスの人間関係が微妙に変わる時期でもある。先頃、「いじめ防止対策推進法」が制定されたが、これで安心と言えるのだろうか。対策の具体的な中身について、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に伺った。
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小学生の9割がいじめを経験し、被害者と加害者が入れ替わる……。国立教育政策研究所が行った追跡調査の結果が、先頃マスコミに大きく報道されました。調査では、ひどくぶつかる・たたく・蹴るなど「暴力を伴ういじめ」と、仲間外れ・無視・陰口といった「暴力を伴わないいじめ」を分け、「暴力を伴わないいじめ」にこそ注意を向けるべきだと指摘しています。
「暴力を伴ういじめ」はエスカレートしないよう、時々の毅然とした対応が不可欠ですし、犯罪行為に至る場合には警察への相談や通報さえ求められます。しかし「暴力を伴わないいじめ」に対しては、すべての児童・生徒を対象とした「未然防止」が最も有効だといいます。
未熟な子どものことだからこそ、「よくあるトラブルがこじれて深刻ないじめへと発展しないようにする対策が重要」と同研究所では指摘しています。「暴力を伴わないいじめ」を風邪にたとえて、肺炎などにこじらせないよう、うがい・手洗いなどの「予防」(未然防止)が効果的だとしています。
そのためには普段から学校で「居場所づくり」「絆づくり」をしておくことが重要です。そこに、いじめを未然防止するカギがあるというわけです。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/education/benesse-9269.html