以前「小学生の自転車事故で母親に9,500万円の賠償(神戸地裁)」という報道があったが、これに驚かれた方も多いのではないだろうか。しかし近年、被害が重大な場合自転車事故でも加害者に高額な支払いが求められるケースが増えているという。そこで子どもが自転車に乗る際に保護者が指導しておきたいこと、自転車事故への備えについて、一般財団法人日本交通安全教育普及協会の彦坂誠氏に話を聞いた。
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自転車はお子さまでも手軽に楽しめる乗り物ですが、道路交通法では「軽車両」という自動車の仲間です。遊び道具ではなく、交通ルールを守り≪運転する≫ものだという意識をお子さまに持たせることが大切です。
ただ、単にお子さまに「交通ルールだから」と言うだけでは、その場ではいけないことと頭で認識できたとしても、実際の行動には結びつきません。また、小さなお子さまには「安全確認をしなさい」「交差点はあぶないよ」という抽象的な言葉だけではなく、たとえば交差点なら右左から車やバイク、人や自転車が来ないかどうか、また、前後から右左折車が来ないかどうかを確かめることなど、より具体的な安全行動を教えてあげてください。そして、どうすれば安全なのか、どんなときに危険がひそんでいるのか、普段の生活の中でお子さま自身に考えさせて、気付かせていくことが大切です。
また、お子さまと自転車で一緒に歩道を走行中、歩行者によけてもらいたいからといってベルを鳴らしていませんか? 歩道は「歩行者優先」です。ベルを鳴らして歩行者に道を譲ってもらうのはダメです。歩行者で混み合っていたら、自転車を押して歩くようにしましょう。そのほか、青信号が点滅しているのに「まだ渡れる」と横断を始めたり、一時停止の標識を無視したりするようでは、お子さまの安全意識は育ちません。お子さまは大人の行動をよく見ています。保護者自身がまず正しい交通行動をすることからすべてが始まります。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/benesse-9248.html