1.骨粗しょう症対策
骨粗しょう症は骨密度や骨質が低下することで起こる病気です。骨粗しょう症があると、骨が弱くもろくなって骨折しやすくなります。骨密度は加齢とともに低下していきますが、その低下をできるだけ緩やかにすることで、転倒と骨折を繰り返す悪循環に陥るのを避け、寝たきりを防ぐことができます。
そのためには、骨の強さとともに、転倒予防のために筋力を高めることが大切です。そこで重要なのが生活習慣の改善で、特に食事と運動が重要です。
2.食事のポイント
食事では、骨や筋肉をつくるのに必要な栄養素を積極的にとることが大切です。カルシウムは骨の材料になる栄養素で、骨粗しょう症対策には1日700~800mgとることが推奨されています。乳製品や小松菜、木綿豆腐、ししゃも、干しえびなどに多く含まれています。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けます。さけ、うなぎ、さんまなどの魚類や干ししいたけなどに多く含まれるので、毎日の食事で積極的にとることが大切です。ビタミンKは骨を作るのを促す働きがあります。納豆のほか、ほうれんそう、小松菜、にら、ブロッコリーなどの緑黄色野菜にも多く含まれるので、意識して積極的にとりましょう。たんぱく質は、筋肉や骨の成分であるコラーゲンを作るのに重要です。男性60g、女性50gが、健康な成人の1日の摂取目安量です。こうした栄養素が不足しないよう、食事のバランスと摂取量に注意しましょう。また、アルコールや、加工食品などに含まれるリンのとり過ぎには注意が必要です。
3.運動のポイント
骨粗しょう症対策の運動では、骨折に特に注意が必要な部位に関係する背筋と下半身を中心に鍛えて骨密度と筋力を高めることと、転倒予防のためにバランス感覚を鍛えることが大切です。また、骨を丈夫にするためには、骨に十分な刺激を与えることが必要です。特に骨に縦方向の刺激を加えることが有効で、ウオーキングが最も勧められます。姿勢をまっすぐにし、歩幅を広げてリズミカルに歩くことがポイントです。ただし、体がふらついたり、足元が安定しないような場合は、屋内でできる安全な運動を行いましょう。
●屋内で安全にできる運動をやってみよう
【片脚立ち訓練】 ※ 左右各1分間×1日3回
(1)机の横に立ち、片手を机の上に着く。
(2)背筋を伸ばし、わずかに片脚を上げて立ち、1分間保つ。
(3)元に戻し、反対側も同様に行う。
【立ち上がり訓練】 ※ 10回×1日3回
(1)いすに腰掛け、脚を肩幅に開く。
(2)両手を机の上に着いてできるだけゆっくりと立ち上がり、元に戻す。
★転倒の心配がない場合は、両手を着かずに行うと効果的
【背筋を伸ばす運動】 ※ 日常の中で常に意識する
日常生活の中でできるだけ、背筋をしっかり伸ばすよう心がける。
NHK「きょうの健康」2013年8月13日放送分