「シェイクアウト」という米国生まれの防災訓練が急速に全国に広がっている。同じ地震に巻き込まれたとの想定で、参加者が思い思いの場所で、メールや防災無線を合図に一斉に身を守る動作を取るだけの手軽な訓練で昨年、国内で導入されて以来、少なくとも60万人近くが参加。9月1日の「防災の日」にも多くの自治体で行われる予定だ。
「地震です。強い揺れに警戒してください」
今月25日朝、防災無線のスピーカーから呼びかけが流れると、甲府市の主婦(44)は、次女(11)、三女(7)と共に自宅居間の机の下に潜り込んだ。
3人は、同市が初めて行ったシェイクアウト訓練に参加した。1分後、訓練を終えた主婦は「緊急地震速報が流れても、いざとなると『どうしよう』って考え、動きが止まってしまいそう。周りに落下するものがないか確認するきっかけにもなった」と話した。
普及団体「シェイクアウト提唱会議」(東京)によると、国内でのシェイクアウト訓練は林春男・京大防災研究所教授の提唱で2012年3月、東京都千代田区で初めて行われた。同年中に名古屋市や千葉市など5自治体が実施して15万人以上が参加。今年は30日までに15自治体が行い、参加者は44万人を超えた。9月以降も14自治体が予定する。
防災訓練は通常、指定の会場に参加者が集まって行うが、同会議事務局長の沢野次郎さん(55)は「避難や救助などの面で専門的で高度な訓練ができる反面、時間や場所に縛られ、参加者が限られがち」と指摘する。
北海道では従来、道内12地域で会場を持ち回りにして防災訓練を開催。参加者は500~1000人ほどだったが、昨年8月、千代田区に次いでシェイクアウト訓練を行い、事前に小中学校や企業に参加登録を呼びかけたところ、参加者は約12万人に。道の防災担当者は「広い道内全域で一斉に訓練を行うことができ、誰でもその場で参加できることが大きい」と話す。
◆シェイクアウト 米国で2008年、防災関係者らが始めたとされる訓練。「Shake Out」は「地震をなくせ」といった意味の造語で、参加者は指定の時刻に「ドロップ(姿勢を低く)」「カバー(頭を守って)」「ホールドオン(揺れが収まるまでじっとする)」の三つの安全行動を取り、身を守るための基本動作を習得する。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/20130831-567-OYT1T00731.html