災害に対する備えをしておくことで、本当に災害が起こったときに被害を少なくする「減災」、皆で助け合って避難したり、物資を出し合って足りないところを補う「共助」。東日本大震災をきっかけとし、その後も各地で相次ぐゲリラ豪雨などの自然災害を受けて、「減災」や「共助」について学んだり、実践する動きが広まっている。
8月12日から14日まで、東京都千代田区にある東京国際フォーラムで開かれた「丸の内キッズジャンボリー2013」(特別協力・産経新聞社)では、親子に防災への関心を持ってもらうイベントが、東京消防庁の協力で行われた。屋外では子供がレンジャーのようにロープを渡ったり、消火ホースで火を消す体験会を実施。煙にまかれる体験ができるハウスでは、出口を飛び出してきて「思っていたより前が見えなかった」と煙の怖さを訴える母親もいた。
屋内では、花火やバーベキューに潜む服などへの引火の危険性を、消防署員による講義や実演で指摘した。火や煙の怖さ、消火器の仕組みなどは知識として知っていても、いざというときに体が動かなければ意味がない。「キッズジャンボリー」に東京消防庁が協力するのも、さまざまな体験を通じて動き方を覚えてもらい、「減災」につなげたいという狙いがある。
町内やマンションといった単位で、「減災」や「共助」への取り組みを強化しようとする動きもある。東京都では昨年から、地域防災力の向上を推進するため「東京防災隣組」という事業を立ち上げ、団体の認定を行っている。昨年は第1回として36団体を認定し、今年の第2回では64団体を認定した。
木造住宅がまだ多く残っていて、火災が発生したときに延焼する心配がある荒川区。住民を区民の手で守るために組織され、地域ごとに設置されている区民レスキュー隊の中から「荒川中央町会レスキュー隊」など3団体が認定を受けた。品川区ではミニFMラジオを使って災害情報を伝える取り組み、目黒区の自由が丘では、Wi-Fiによる無線通信で来訪者に災害情報を伝える態勢を構築する取り組みが認定された。地域ごとに何が起こるかを想定し、備えておくことが、いざというときの迅速な行動につながる。
平成32(2020)年の東京への五輪誘致を目指している東京都では、「『2020年の東京』へのアクションプログラム2013」を策定。交通インフラや治安といった面以外に、「自助・共助・公助の力で首都直下地震への備えを固めます」(猪瀬直樹都知事)という方針のもと、防災面でも優れた都市へと東京を発展させていく姿勢を打ち出している。
「帰宅困難者対策」「耐震化・木密不燃化の推進」「インフラの老朽化対策」などがあって、このうち帰宅困難者対策では、事業者に一斉帰宅を抑制するよう求め、水や食料などを3日分、備蓄するよう都条例を制定した。地震に強い街作りでは、「木密地域不燃化10年プロジェクト」を立ち上げ、道路の拡張など各地域の取り組みを支援している。
国や自治体から、地域の町内会、そして個々人のレベルでそれぞれに行われている「減災」や「共助」への取り組み。それらが連携して動くことで、いつ来るかもしれない巨大災害に立ち向かえる、強くて確かな社会ができる。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/education/snk20130901520.html