9月1日の「防災の日」を前に環境省は災害発生時、ペットを原則、同行避難させることを明記した初めてのガイドラインを公表した。大切な「家族」を守るため、日頃の備えを見直したい。
◆ケージに慣れる
9月11日で発生から2年半を迎える東日本大震災ではペットにも多くの犠牲が出た。被災ペットの数は「推定数すら把握できない」(同省動物愛護管理室)。東京電力福島第1原発事故にも見舞われた福島県の動物救護本部は今月22日現在で、飼い主が見つからない、または飼い主の元で暮らせない犬36匹、猫150匹を保護している。
ガイドラインでは今回の震災の教訓も踏まえ、災害発生時は原則としてペットは飼い主と一緒に避難することを明記。各自治体や関係団体に対し、避難所や仮設住宅の受け入れ態勢を整えたり、住民への周知を図るなど、地域の実情に応じた対応を求めている。
ただ、同行避難には課題も多い。日本愛玩動物協会総務部長で獣医師、岡崎留美さんは「同行避難という言葉自体は周知されているが、そのために何をすればいいかまでの意識はまだ、かなり足りない」と話す。
犬の場合、「待て」「伏せ」など指示によって行動を停止できるしつけは最低限必要だ。飼い主以外の人や他の動物を見てもほえない社会性を身に付けたり、指示された場所で排泄(はいせつ)できるとなおいい。岡崎さんは「成犬は難しいが、子犬のうちに飼い主がぶれない姿勢でしつければ制御はできるようになる」と話す。難しい場合は専門の資格を持ったトレーナーに相談するのもいい。
猫も含め、避難先ではケージの中で暮らすことを考え、普段からケージを嫌がらないように慣れさせておくことも必要だ。東日本大震災の被災地で発生2週間後から救援活動を行った同協会の救援事業担当課長、白井百合さんは「災害時はペットもストレスを抱える。ケージに慣れていないと、かみつき事故などのトラブルを起こす可能性もある」と指摘する。
猫は避難の際もキャリーバッグに入れて運ばなければならないため、おもちゃやおやつを入れるなどして、キャリーバッグが楽しい場所だと思うようにしておくといい。
◆人の安全確保優先
避難の際に持っていきたいものは表の通り。持ち出し用品の場所などは家族で共有する。また、はぐれてしまったときのために迷子札やマイクロチップはつけておきたい。
また、犬・猫とも繁殖を目的とした飼育でない限り、去勢・避妊手術は済ませておく。「一般的におとなしくなり、病気予防の点からも有効」(岡崎さん)
災害への備えで最も大切なのは、まず人の安全を確保すること。家具の転倒や棚からの物品落下防止、避難経路の確保などは人はもちろん、人がいない場合でも室内にいるペットを守ることにもつながる。
近所や飼い主仲間のネットワークも大切だ。普段から避難場所などの情報を共有したり、場合によっては一時的に預かってもらったりできる人を見つけておくと安心だ。(戸谷真美)
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