ゲリラ豪雨や猛暑など異常気象が続く今年の夏。大気が不安定になると、雷雨に加え、竜巻も発生しやすくなる。遭遇するかどうか、まれな災害とされる竜巻。実際に遭遇したら、どうするか? 竜巻から身を守る注意点をまとめた。(村島有紀)
◆局地的に被害
気象庁によると、今年1~7月で6個、平成23年までの5年間では年間平均23個の竜巻発生がそれぞれ確認されている(海上の竜巻は除く)。竜巻は、寒冷前線や暖気の流れなど気象の変化によって、一年中、発生する。昨年5月には茨城県つくば市や常総市、一昨年11月には鹿児島・徳之島で風速50メートルを超える竜巻と推定される突風がそれぞれ発生、計4人が死亡した。
最も多く発生するのは台風シーズンの9月で、沿岸部で多い。18年9月には、台風13号の接近に伴って宮崎県で竜巻が発生し、同県延岡市で3人が死亡、周辺の市と合わせ、150人以上がけがをした。
竜巻は、発達した積乱雲に伴って発生する激しい渦巻きで、長さ数~十数キロ、幅数十~数百メートルの狭い範囲に被害は集中。進路は気象条件によってどの方向にも早い速度で進み、台風を上回る風速で局地的に大きな被害をもたらす。
気象庁の松村崇行・気象防災情報調整室長は「真っ黒な雲が近づき、雷鳴や雷光、冷たい風が吹き出すのが発達した積乱雲が近づいている兆し。必ず竜巻が発生するわけではないが、頑丈な建物に移動するなど安全確保を心掛けてほしい」と話す。
◆車は安心できぬ
竜巻から身を守るにはどうしたらいいのか? 気象庁が5月に作成したリーフレット『竜巻注意情報・竜巻から身を守る』(気象庁ホームページからダウンロード可)が参考になる。
竜巻が近づいたら、「屋外では頑丈な構造物の物陰に入って身を小さくする」「屋内では窓やカーテンを閉める」「1階の窓のない部屋に移動し、窓から離れる」-などの行動を取る。
また、雷と異なり、竜巻の場合は車に乗っていても安心できない。竜巻の強さは、最弱のF0から最強のF5に分類されるが、風速33~49メートル(約10秒間の平均)のF1でも走行中の自動車が横風を受けると、吹き飛ばされることがある。雲の動きから竜巻の進路が予測され、近くに頑丈な建物がない場合は進路から離れる方向に逃げた方がいい。
松村室長は「竜巻の発生は、レーダーなどではキャッチが難しい。竜巻の発生を目撃したら、自分の身の安全を確保してから、気象台や自治体、警察、消防などの公的機関に連絡してもらうと被害の拡大防止につながりやすい」と話す。
同庁は22年から、竜巻などの激しい突風が発生しやすい地域を1時間先まで予測するウェブサイト「竜巻発生確度ナウキャスト」(www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=000&contentType=2)を開始。竜巻注意情報の発表と合わせ、「防災の参考にしてほしい」としている。