国道402号沿い500メートルほどに十数軒の鮮魚店が連なる寺泊・魚の市場通り。「魚のアメ横」の方が分かりやすいかもしれない。
紅ズワイガニが千円から、60センチはある天然ブリが1500円、3匹なら2800円、地元・寺泊のタチウオは450円。単身赴任の身であることを忘れて買いたくなる値段だ。「どうだい」と声をかけられたが、試食をしながら店員と会話を楽しむのが、ここの買い物の流儀のようだ。
発泡スチロール製の保冷箱に魚と氷を詰め込んで、大量に買い込む人も多くも見かけた。隣接する海水浴場で焼くのだろうか、バーベキュー用海鮮セットも用意されている。
階上の食堂で魚料理も食べられるし、店先にはエビやイカ、ホタテなどの串焼きの販売もあり、食べ歩きも楽しい。
夏休みや5月の大型連休には1日3万人が訪れ、冬には首都圏からカニなど水産物の買い出しツアーもやってくる一大観光地だ。
なぜ、こんなに鮮魚店が集まっているのか。寺泊観光協会の会長、山田栄三郎さん(68)が教えてくれた。
昭和45年ごろ、通りにある鮮魚店の一つ、山六水産が紅ズワイガニの販売を始めた際、試食させたことがきっかけだという。「当時、紅ズワイガニはあまり知られておらず、味見させていたのだが、寺泊ではカニがただで食べられると評判になったんです」
やがて、同じ通りにある角上魚類など卸売商が道路沿いに一般向け鮮魚店を開くようになり、さらに、高速道路の整備が進み、地元客より観光客向けに切り替えたことが成功につながったそうだ。
「何もない所なのに、なぜこんなに集まるのだろう」
山田さんは不思議がる。いえいえ、見て食べて、それぞれが好きな風に楽しめる。こんな場所なかなかありません。(慶田久幸)
【寺泊 魚の市場通り】 新潟県長岡市寺泊下荒町ほか。原則無休、営業時間は午前8時半~午後5時だが、店舗により異なる。上越新幹線長岡、燕三条からバス1時間、北陸道三条燕ICまたは中之島見附ICから車で35分。問い合わせは寺泊観光協会(電)0258・75・3363。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130817/ngt13081722300003-n1.htm
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