かば焼きなどで味わう夏の元気メニュー「うなぎ」。価格はこのところ、まさにうなぎ登りに高価になってしまった。そこで少し目先をかえて、いつもとは違う精進料理で味わう“うなぎ”にもチャレンジしてみたい。
精進料理は殺生を禁じた仏教がルーツで、基本的には肉や魚を使用せず、野菜や大豆が主な材料となる。鎌倉時代に中国から伝わり、禅宗が発展に大きく寄与した日本流のものと、江戸時代の初期に、同じく中国からもたらされた中国風精進「普茶(ふちゃ)料理」があり、それぞれに“うなぎ”メニューが存在し、いずれも絶品だ。
まず、日本流では、静岡県浜松市にある臨済宗方広寺派の大本山「方広寺」で、今夏から始まった「精進うな重(1,200円/吸い物、香の物付き。別途拝観料400円)」が話題となっている。これは、すりおろした山芋とレンコン、ゴボウ、豆腐などを練り、うなぎの形にした「山うなぎ」だ。海苔をうなぎの皮に見立てて使うなど、細部にもこだわり、秘伝のタレで仕上げた。食べられるのは、土曜日と日曜日のみで、各日限定30食。なお同寺では、精進うな重以外にも、以前から四季折々の精進料理(要予約、2名以上。1人2,500円より。拝観料込み)も扱っており、8月は「精進鰻御膳」に舌鼓を打つこともできる。
一方、葛や植物油などが用いられる普茶料理は、日本流の精進料理に比べ、やや濃厚な味付が特徴だ。本場は京都や長崎だが、東京でも味わえる。たとえば台東区にある要予約の店舗「普茶料理 梵(ぼん)」で、平日のお昼に提供される「普茶弁当(3,450円+税、奉仕料で約4,000円)」なら、多彩な味に触れることができ、普茶料理の入門にはもってこいだ。こちらの“うなぎ”の素材は、豆腐と山芋。よく練った後に油で揚げ、さらに照り焼きにしている。
価格は、本物のうなぎ並かそれ以上と、精進料理の“うなぎ”も決して安くはない。しかしヘルシーで味も太鼓判だ。たまには、こんな“うなぎ”に接するのも乙なものかもしれない。
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