学校が夏休みに入り、子どもたちが外出する機会が多くなる。犯罪に巻き込まれることのないよう、改めて安全対策を徹底したい。
東京都練馬区の区立小学校の校門前で6月末、下校する小学1年生の男児3人が男にナイフで切り付けられ、けがを負った。今月中旬には、茨城県龍ヶ崎市の路上で、小学5年生の女児が男に殴られ、重体となった。
警察庁の統計では、13歳未満の子どもが被害者となる事例では、強制わいせつや暴行、傷害など、悪質な犯罪が目立っている。
子どもが不審者に声をかけられたり、つきまとわれたりしたら、保護者はすぐに警察へ通報してもらいたい。警察は捜査に手を尽くすとともに、不審者情報を学校や地域の町内会などに周知し、警戒を呼びかけることが大切だ。
学校の安全対策は、2001年に大阪教育大付属池田小学校で起きた児童殺傷事件を契機に、強化が図られてきた。
池田小では「安全科」の授業を設け、道で見知らぬ人から声をかけられた場面などを想定し、自分がとるべき行動を児童に議論させている。こうした安全教育を取り入れる学校は増えつつある。
不審者の侵入を察知するため、多くの小中学校で防犯カメラなどが設置された。
登下校時に、保護者が子どもに付き添う。町内会の防犯ボランティアが通学路を巡回する。地域の様々な取り組みが進んでいる。
ただ、夏休み中はどうしても、子どもたちを守る活動は手薄になりがちだ。外遊びのほか、塾や水泳教室の行き帰りといった、大人の目が届きにくい時間帯は特に注意が必要となる。外出の際には必ず防犯ブザーを持たせたい。
危険を回避する上で何より重要なのは、日頃から子どもたちの防犯意識を高めておくことだ。
例えば、自宅周辺に、子どもが連れ込まれかねない空き家や、街灯のない通りなどがないか、親子で確認し、近づかないようにさせてはどうだろう。
各地域には、「子ども110番の家」がある。危険な目に遭った子を一時的に保護し、警察に通報する役目を担っている。子どもに所在地を教えておけば、いざという時の駆け込み場所になる。
夜間でも営業しているコンビニエンスストアは、防犯拠点として活用できる。
子どもたちが夏休みを安全に過ごすには、家庭や地域が連携して支えていくことが欠かせない。
読売新聞
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/education/20130723-567-OYT1T01385.html