東京電力の広瀬直己社長が5日、新潟県を訪れ、東電柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全審査申請決定の説明のため泉田裕彦知事、会田洋柏崎市長、品田宏夫刈羽村長と相次いで行った会談。知事が決定理由などを厳しい口調で質問したのに対し、広瀬社長は明確な答えができなかった。また、原子力規制委員会への申請前に、安全協定に基づき事前了解の手続きを踏むよう求めた放射性物質の排出を抑える「フィルター付きベント(排気)設備」についても、県に設置申請を行えなかった。知事と広瀬社長の会談の主な内容は次の通り。
知事 大勢の方が不安に思っている中、地元に説明することなく、安全審査申請を決定した背景を教えてほしい。
東電社長 取締役会で決めた内容は地元に説明してできるだけ早く申請するということ。申請が先にあって、後から地元に説明すればいいというつもりは全然ない。取締役会で決定したことは速やかに公表しなければいけない適時開示という東証のルールもあった。
知事 段取りではなく事情の説明を、といっている。なぜ申請決定を急いだのか。
東電社長 まず準備ができた。福島第1原発事故の教訓の中から学んだものを柏崎刈羽原発に取り入れてきた。そうした(安全対策上の)準備ができたのが理由だ。
知事 原子力規制委員会への審査の順番を気にして急いだのではないのか。地元に説明してから取締役会で決めてもよかった。
東電社長 重い決定なので、根回しで取締役会の決定ができていないけど、よろしくお願いします、ということはできたのかもしれない。重い決定なので取締役会の決議があってそれに基づいていこうというのが現状だ。
知事 本当のことをいったらどうか。根回しもせずに。
東電社長 根回しはできる機会があったかしれないが…。
知事 申請を早くやりたいのか。
東電社長 もちろん、理解をいただければ早く申請したい。
知事 なぜか。
東電社長 準備ができているから。
知事 年度内黒字化と金融機関からの融資を意識したか。
東電社長 もちろん経営を考えなければいけないので、3期連続の赤字は何としても避けたい。
知事 不安を解消する安全よりお金を優先したということか。
東電社長 そういうわけではない。
知事 今回の面会も株主総会で社長に再任されたので再度、就任あいさつしたいと申し込んだ。実際には安全審査申請決定の説明をしている。
東電社長 先週水曜日(6月26日)、総会後に面会を申し込んだ。まだ取締役会決議(7月2日)をしていない段階だった。
知事 地元の事前了解を得ることなく申請はしないと約束できるか。
東電社長 しっかり説明させていただきたい。ぜひ知事に了解していただきたい。
知事 安全協定に基づいて事前了解をとってほしい。
東電社長 同時にできるのではないかと考えている。
知事 事前にやる約束だ。約束できないならお引き取りください。
東電社長 また知事に時間をいただき説明したい。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130705/ngt13070523040011-n1.htm
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