[ カテゴリー:生活, 社会 ]

9割の日本人が間違っている「リーダーシップ」の本質

集団を統率するリーダーが評価されるのは、日本の大企業だけ……?全米就職ランキングで人気の教育系NPOの日本版、ティーチ・フォー・ジャパンを20代で立ち上げた松田悠介さん。同じく20代で日本初の投資信託評価会社を起業し、マルチな活躍をしている藤沢久美さん。今までなかった組織を生み出したおふたりに、これからのビジネスパーソンに求められるものをうかがった!(全3回:撮影 宇佐見利明)

日本人は能力が高いが、
働く哲学が欠けている

松田 僕はNPO法人である、ティーチ・フォー・ジャパンの活動を通して、すべての子どもたちに21世紀を生き抜く力を身につけてもらいたいと考えています。

これからさらにIT化が進んだり、外国から労働者が入ってくることで、いまの子どもたちが大人になるころには、働く環境が大きく変わっているはず。藤沢さんは中小企業を中心に現場での取材されていますが、将来、ヒジネスマンにはどのような能力が必要になるとお考えですか。

藤沢 日本人は、すでに高い基礎能力を持っています。あえていうなら、能力の新しい使い方が必要になるということでしょうか。

松田 新しい使い方とは?

藤沢 なぜ自分は働くのか、この仕事を通して何を実現したいのかという意識が希薄な気がします。せっかく能力があっても、働く目的や哲学が明確でないと、空回りしやすく、能力を全開できないし、さらに能力を高めることが難しくなります。

松田 たしかに目的意識は大事ですよね。

藤沢 北海道に、「六花亭」という洋菓子メーカーがあります。六花亭は業績がずっと好調でしたが、数年前に同じ北海道の「花畑牧場」が生キャラメルなどのブームを背景に急成長して、その影響で売上は激減。これまでの方針を、大きく転換せざるを得なくなったとき、社員のほうから「通販をやりましょう」というアイデアが出てきて、大きな新規売上をあらたにつくることに成功したそうです。

なぜこの話をしたのかというと、六花亭の社員は目的意識を強く持っていたから、社員自ら解決策を考え出せたと思うんです。私が取材にうかがった際に、社員のみなさんは、「私たちの仕事はお菓子作りではなく、幸せを日本中に広げること」と口々に言っていました。そうした意識を持っていると、持てる力をどのように発揮すればいいのかということが自然に見えてくるんですね。

松田 社長や上司からの指示待ちではなくて、自ら考えて動けるのはそうした目的意識があるからなんですね。

身につけるべき能力は
目的を明確にすれば見えてくる

藤沢 ほかにも事例はたくさんあります。たとえば、お弁当で急成長中の「玉子屋」さんっていう会社があるんですが…。

松田 配達の車を見かけたことはあります。

藤沢 大田区を拠点としたお弁当屋さんで、都内を中心に7万食を製造・販売しています。そこの社員のみなさんは「俺たちはただの弁当屋じゃない。働くお父さんたちに安くて栄養満点のお弁当を提供することで、日本経済を支えているんだ」と言っていました。

松田 お弁当で日本経済の支援ですか。スケールが大きい…。

藤沢 社員のみなさんは本気でそう考えているので、日替わり弁当430円という値段なんですけど、これ以上高くなるとその分、お父さんのお小遣いが減っちゃうからって(笑)がんばっているんです。

材料はお米や野菜などは国産を使ったりこだわってるんですが、廃棄率を0.1%以下に抑えていたり、もう企業努力がすごいんですよ。

松田 お父さんの味方なんですね。

藤沢 社員さんは、今の能力を発揮するだけでなく、さらに能力を磨こうとする意識も高いんです。じつは玉子屋さんには、いわゆる過去「やんちゃ」だった人も多いんですが、これまで一度も本を読んだことがなかったのに、自ら営業の本を読んで勉強を始めたりするんです。これも目的意識がなせるわざです。

松田 なるほど。大切なのは、これからどのような能力を身につけるかということより、何のための働くのか、という目的意識ということですね。
それが明確になっていれば、六花亭や玉子屋さんの社員の方たちのように、自然と「自分が何を学べばいいのか」とか「自分は何をしたらいいのか」が見えてくるわけですね。

http://news.goo.ne.jp/article/diamond/bizskills/diamond-38233.html

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