「旬」の恵みで水分補給 夏野菜あれこれ
ハウス栽培などで、1年中豊富な種類の野菜・果物が売り場に並び、いつが旬なのかわからない時代です。しかし、旬は美味しさ、栄養価が違います。夏野菜は、水分含有量が多く体温を下げ、ビタミン類は体の調子を整えます。また、苦みや辛みは清涼感を与え、食欲を刺激してくれます。(いいなクラブ)
野菜、果物、魚には本来、出盛りの時期、食べ頃の時期があり、これを「旬」と呼びます。旬のものは味が良く、栄養的にも優れているのです。以前は、野菜や果物は旬の時期にしか出回らなかったのですが、品種改良や栽培・保存・流通技術が発達し、年間を通じて食べることができます。
夏野菜は、色が濃く見るからに艶があって、食欲が落ちる時期にカラフルな色合いは、食欲を刺激してくれます。シーズンを迎える夏野菜の特徴をまとめます。
◆夏野菜の特徴と効能
(1)カリウムが豊富…夏野菜はカリウムを多く含みます。カリウムには、体内の余分な水分を排泄する働きがあり、この利尿作用が水分とともに体の余分な熱を体外に放出してくれます。汗をかくと、水分とともにカリウムが体外に出てしまい、だるさ(いわゆる夏バテ)を生じることがあり、そんな時期はカリウムを多めに摂ることが重要です。水分とナトリウム(塩分)のバランスをとりながら神経伝達や筋肉の収縮などを助けくれるのです。また、腎臓で余分なナトリウムを排出し、血圧を下げる働きもあります。カリウムは水溶性なので水にとけやすく、熱にも弱いので、生で食べられる野菜や果物をたっぷり摂りましょう。
(2)水分補給にぴったり…夏の水分不足は脱水症状や熱中症の原因になります。水を飲み過ぎると胃酸が薄くなり、胃腸の機能が低下することもあります。水分をたっぷり含む夏野菜は、体内の浸透圧を調整し水分量を調整してくれるカリウムなどのミネラル分を同時に摂取出来るので、水分補給に最適です。
(3)ムチンやペクチンのネバネバ成分…夏野菜のオクラやモロヘイヤなどの粘り成分は、水溶性食物繊維「ペクチン」と、糖質とタンパク質の複合体「ムチン」です。ペクチンには血中コレステロールを減らしたり、血圧を下げる効果のほか、ムチンには、胃粘膜の保護、タンパク質の消化促進、整腸作用があります。冷たいものを食べ過ぎ飲み過ぎしがち時期に、夏バテした胃をサポートしてくれます。
(4)ビタミン類が豊富…夏野菜は、身体の調子を整えるビタミン類を多く含みます。紫外線によるダメージを受けやすい夏場は、シミの原因となるメラニン色素の生成を防ぐ働きのあるビタミンCが効果的です。ビタミンCやB群は、水溶性で加熱に弱いので、生で食べてください。また、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンは油に溶けやすく、油と一緒に摂ると吸収されやすい性質があるので、炒めものや揚げ物にして食べると良いでしょう。
◆代表的な夏野菜
・トマト…ビタミンC・Aが多く、カリウム、ルチン、ビタミンB6なども含まれる。赤い色素「リコピン」には抗酸化作用がある。
・ナス…水分が90%以上で、ビタミンC・B1、カリウムなどが含まれる。紫色の色素「アントシアニン」はポリフェノールの一種で、活性酸素の働きを抑制し、ガン予防のほか、動脈硬化や高血圧予防に効果がある。
・キュウリ…約95%が水分。ビタミンCやカリウムが含まれる。ビタミンCを壊すアスコルビナーゼという酵素が含まれるが、酢の物にすると酵素の働きが抑制される。
・ピーマン…ビタミンA・C・Eや、カロテン、カリウムも多く含まれる。においの成分「ピラジン」は、血液凝固を防ぐ作用がある。
・カボチャ…カロチンが多く、ビタミンE・B群、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維などを多く含む。皮膚や粘膜を健康に保ち、免疫力を高める。
・ゴーヤ…ビタミンC・B1、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどミネラルが多く含まれ、夏バテ解消に最適。ゴーヤのビタミンCは、加熱しても壊れにくいのが特徴。
苦み成分「モモルデシン」が胃液の分泌を促し食欲を増進させ、肝機能を高める。
オクラ…ペクチン、ムチン、カロテン、ビタミンC・B群、カリウム、カルシウムなどミネラルが多く含まれ、免疫力を高める。粘り成分は組織を壊すほど増すので、出来るだけ細かく刻むのがポイント。
・シソ…カロテンが多く、ビタミンC・B群、カルシウム、カリウムなども含まれる。
香り成分「ペリルアルデヒド」が胃液の分泌を促し食欲を増進させるほか、健胃作用や食中毒の予防にも効果がある。
食欲が落ちる夏場は、普段以上に意識して栄養を摂る必要があります。夏野菜の特性を上手に食生活に取り入れて、暑さに負けない身体づくりをしましょう。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20130626537.html