今年5月、アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学で、ビタミンCが結核の特効薬になることが発見された。過去の病気に思われがちの結核は、依然と人類を脅かし続けている病気だから、一日も早い実用化が期待されている。
食品の保存剤にも使われているビタミンCは、美容にも欠かせない反面、過剰摂取するとおなかの調子が悪くなったり、結石の原因にもなるので注意が必要だ。
■ビタミンCが地球を救う?
結核は結核菌によって引き起こされる感染症で、肺などの呼吸器官に炎症を引き起こす。悪化すると肺の組織が溶けて穴が開き、リンパや血液を通じて他の臓器にもダメージを与える危険な病気だ。
咳(せき)やくしゃみで他人にうつるため、早急に対処しないといけないのだが、感染しても発病するのは5~10%と低く、しかも発病するまでの潜伏期間は短くても3か月もあるためまん延しやすい。そのため日本では1999年に「結核緊急事態宣言」がなされたほど、事態は深刻なのだ。
まん延の目安は人口10万人あたりの患者数で、2010年の日本は18.2人と、10人を超える「中まん延国」にランク付けされる。
10人以下の「低まん延国」には少なくとも10年、100万人あたり1人以下の「制圧」状態までは50年以上かかると予想され、安全と呼べる状態までの道は長い。かかってもすぐに自覚症状が起きないのに加え、多剤耐性(たざいたいせい)結核と呼ばれ、多くの薬が効かない菌が生まれているからだ。
公益財団法人結核予防会の資料によると、結核を治す薬は10種類以上あり、おもな薬名と形態をあげると、
・イソニアジド … 錠剤
・リファンピシン … カプセル
・ピラジナミド … 粉薬
・ストレプトマイシン … 筋肉注射
・エタンプトール … 錠剤
で、これらを組み合わせて6か月ほど使用するのが定番だ。しかし、副作用が強いのが難点で、肝臓や聴力(耳鳴り)、視力、皮膚へダメージを与える。
そのため完治を待てず途中で止めてしまうケースが多く、病気がぶり返すのと同時に、薬品に耐性を持った強い菌が生まれてしまうのだ。
強い菌が生まれるのは結核に限らず、農薬や殺虫剤も同じで、生き残った虫や菌が耐性を持ち、薬が効かない強化タイプが生まれる。
そこでさらに強い薬で対抗するのだが、これも何年かたつと効果が薄れてしまう。科学の発展がさらなる脅威を生み出しているのだから、自作自演にもほどがある。
対してビタミンCは耐性を持った結核菌にも効果的で、副作用も起きにくく価格も安い。3拍子そろった特効薬として、実用化に期待が寄せられているのだ。
頼むぞビタミンC。人類の未来は君に任せた。
■レモンは酸っぱいだけ?
ビタミンCが多く含まれる食品を見てみよう。厚生労働省の資料から食品100g中に含まれる量(mg)のトップ5を抜き出すと、
1位:ピーマン(赤)(生) … 170mg
2位:芽キャベツ(生) … 160mg
3位:ピーマン(黄)(生) … 150mg
4位:ブロッコリー(生) … 120mg
5位:菜の花(生) … 110mg
で、子供の嫌いなピーマンが大活躍している。
動物性食品では意外なことに加工食品が生レバーを凌駕し、ロースハムが1位(50mg)、プレスハムが43mgで2位となっている。ビタミンCの代名詞とも呼べるレモンは100mgで6位にとどまり、あまり好き嫌いを聞かないブロッコリーにさえ抜かれている。
ビタミンCの粉末・アスコルビン酸も強烈に酸っぱいのだが、レモンの酸味はビタミンC量に比例していないのが事実だ。がっかりだよ。
ビタミンCはコラーゲンを作るのに大事な役割を果たすため美容成分として有名だが、からだの免疫を高めたり血中コレステロールを低下させるなど、健康にも欠かせない。
不足すると倦怠(けんたい)感や歯肉炎、欠乏すると歯が抜けたり粘膜から出血する壊血(かいけつ)病になるので、「摂(と)った方が良い」ではなく「摂(と)らないと危険」なビタミンだ。
ただし過剰摂取すると、吐き気や下痢、腹痛が起き、さらに進むと結石の原因にもなるのでさらに危険だ。1日の推奨量は、男女を問わず12歳以上は100mgなので、用量を守って摂(と)るようにしよう。
■まとめ
国民的に有名な栄養ドリンクは、1本にレモン11個分のビタミンCを含むという。1個分の果汁がおよそ30gだから1本あたり330mgで、もしすべて吸収されたら推奨量の3.3倍になってしまう。
サプリや健康食品の分量を間違えると、簡単に推奨量を超えてしまう。適量を守って美容と健康に役立てよう。
http://news.goo.ne.jp/article/mynaviwomen/life/medical/mynaviwomen-181351.html