50代後半に発症することが多い小脳の難病「多系統萎縮症」は、ビタミンに似た物質「コエンザイムQ10」を合成する遺伝子の働きが低下することが原因の一つと分かった。東京大医学部付属病院の辻省次教授らが日米欧の国際共同研究として患者の遺伝子を解析した成果。米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に13日、発表した。
多系統萎縮症は、話しにくかったり体がふらついたりするほか、排尿・排便などの自律神経障害、筋肉がこわばるなどのパーキンソン病に似た症状が特徴。日本では患者が人口10万人当たり10人程度いると推定されるが、原因の解明が進んでいなかった。
コエンザイムQ10は細胞内でエネルギー生産や抗酸化作用を担っており、サプリメントとして市販されている。辻教授は「患者にどれぐらいの量を飲んでもらえば症状の進行を止める効果があるか検討してから、臨床試験を実現させたい」と話している。
コエンザイムQ10の合成遺伝子の変異は10パターン以上発見され、日本人患者だけにあるパターンも特定された。症状が似ているパーキンソン病患者ではこの遺伝子の変異は見つかっていないという。
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