失業や病気などで生活に困窮する人を支えるのが、生活保護制度だ。受給者はもともと、高齢者や傷病・障害者が中心だった。就労が容易ではないだけに、受給を始めると脱却が難しい事情があった。
ところが、2008年秋のリーマン・ショック以降、「派遣切り」などで失業が若年層にも広がり、働ける現役世代で受給する人が急増した。受給者は、今年2月に過去最多の215万人に上った。
そこで、これまで手薄だった現役世代に向けた自立支援策を強化するのが、今回の見直しの特徴だ。生活保護法が1950年に制定されて以来の大幅な改正となる。
自立支援策の柱は、「就労自立給付金制度」の創設だ。仕事に就いて生活保護を脱却できた時に、まとまった給付金を支給するという内容だ。
現在も受給者が働いて収入を得た時は、生活保護費を減額されるが、手取り総額は規定の保護費より多くなるよう配慮されている。働く意欲を高める狙いからだが、就労自立給付金制度は、勤労収入の一定割合を積み立てたとみなす仕組みも導入し、保護を脱した時にまとめて支給する。
仕事に就いて自立すると、税金や保険料などの負担も生じる。給付金は、生活が軌道に乗るまでの支えとなることが期待される。毎月の積み立て規模や最終的な支給額をどうするかは、今後検討する。
また、政府は今年8月に「就労活動促進費」も創設する。ハローワークなどで積極的に就職活動をする受給者に、原則6か月(最長1年)間、月5000円を支給して、職探しを後押しする。
一方、後を絶たない不正受給は、対策を強化する。11年度の不正受給額は約173億円と過去最悪を更新した。不正行為を抑制するため、罰則を厳格にする。自治体が、不正受給額に40%以内で上乗せして返還を求めることもできるようにする。
受給者が受診などに使う医療費は、保護費全体の半分を占めており、価格が安い後発医薬品の使用を促進する。
保護費を負担する国民の信頼を高めるためにも、就労を応援して自立を促すことや、不正受給の防止は進める必要がある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130612-00010000-yomidr-hlth