国が地方交付税の減額を盾に、地方公務員の給与を7月から国家公務員に準じて削減するよう求めていることに対し、県内30市町村で削減を決めたのは新発田、十日町、南魚沼、阿賀野の4市にとどまることが毎日新聞の調べで分かった。16市町村は「検討中」としたが、このうち12市町村は6月定例議会への条例改正案の提出を見送る方針で、7月からの給与削減はない見通しだ。【真野敏幸】
調査は各自治体の担当者に聞き取りで行った。2012年のラスパイレス指数が106と政令市の新潟市を除く県内市町村で最も高かった新発田市は先月、7月から来年3月末までの9カ月間、職員給与を月額平均6・1%削減することを決めた。総額は明らかにしていないが、市の担当者は「県内の各自治体と比べ、高い水準だったことなどを加味した」と言う。阿賀野市は11日、月額3・7%、総額約8800万円を減額することを決めた。南魚沼市も同様に月額平均0・8%引き下げる。総額は約2500万円。十日町市も月額平均3・8%、総額約6000万円の減額を決めた。3日の定例記者会見で関口芳史市長は「地方交付税の削減を手段にした国のやり方については怒りを覚えるが、市民サービスの低下を避けるため対応することにした」と説明した。いずれの市も、6月定例議会に改正条例案を提出した。
一方、削減しない方針の10市町村は、ほとんどが同指数で100を下回っており、「もともと国の給与水準を下回っている」ことを主な理由に挙げている。
残る16市町村はほとんどが同指数が100を超えているが、「検討中」と回答した。理由について「地方交付税が具体的にどれくらい減額されるかまだはっきりしていない」「近隣自治体の様子を見て判断したい」などと模様眺めの状態だ。ただ、このうち12市町村が6月定例議会への条例改正案の提出を見送る方針で、7月からの給与削減はなさそうだ。新潟市の篠田昭市長は定例記者会見で「首相自ら民間には賃金を上げろと言っておきながら、なぜ地方公務員には下げろと言うのか」と疑問を呈した。
同指数が最も高い県も「検討中」と態度を明らかにしていない。総務省の担当者は「給与を削減するかどうか判断するのは自治体だが、復興財源に充てるという趣旨を理解してほしい」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130612-00000148-mailo-l15