東日本大震災の被災地再生のシンボルとして、東北地方太平洋沿岸の自然公園を再編する「三陸復興国立公園」が24日、誕生した。地元では観光の起爆剤としての期待が膨らみ、青森県八戸市などが市役所に看板を設置して祝った。
青森県の種差(たねさし)海岸階上岳(はしかみだけ)県立公園を陸中海岸国立公園(岩手、宮城)に編入して復興国立公園に改称、断崖絶壁が続くリアス式海岸や種差海岸の天然芝生地といった風光明媚(めいび)な景観が広がっている。
八戸市から福島県相馬市松川浦まで海岸沿いに約700キロを結ぶ長距離歩道「みちのく潮風(しおかぜ)トレイル」も目玉プロジェクトで、今秋一部が開通する。津波被災施設の「災害遺構」としての保存公開や、特産品を生かして自然に親しむエコツーリズムなどの構想も浮上している。
環境省は、2014年中に第2弾として南三陸金華山国定公園(宮城県)を統合する方針。宮城県の気仙沼、硯上山(けんじょうざん)万石浦(まんごくうら)、松島の3県立公園を順次編入することも検討しており、中央環境審議会が今秋以降、議論を始める。
石原伸晃環境相は24日の記者会見で、三陸復興国立公園に「訪れた人と地元との心の結びつきで地域が活性化していくことを希望する。復興に貢献する第一歩だ」と期待感を示した。
八戸市は戦前から種差海岸の国立公園化を要望してきた。市役所に24日、「祝 種差海岸 三陸復興国立公園指定!」と書かれた幅9メートルの看板が掲げられ、市職員ら約200人が万歳三唱した。
同市の小林真市長は「全国から多くの人が訪れるような環境をつくり、復興に役立てたい」と述べた。八戸観光コンベンション協会の大黒裕明会長は「復興公園で一番見どころのある場所にしたい」と意気込んだ。
25日に種差海岸・天然芝生地などで公園名称標識の除幕式があり、八戸市公民館で国など主催の記念式典が開かれる。
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