災害時に自力避難できない高齢者や障害者など避難行動要支援者の名簿を、都道府県庁所在地など主要自治体(74市区)の大半で作ったものの、支援を必要とする住民の掲載率が半分に届かない自治体が27市区あり、大阪、千葉など8市区では1割未満だったことが、読売新聞の調査でわかった。
名簿への掲載に「本人同意」を求める個人情報保護条例を意識し、及び腰の自治体が多いためだが、本来の目的である災害時の有効性が危ぶまれる実態が明らかになった。
調査は、4月までに、県庁所在地や政令指定都市、東京23区の主要74市区を対象に行った。その結果、主要自治体の9割にあたる67市区が既に名簿を作成していた。震災直後の2011年4月には7割(消防庁調べ)だったため、対策を急ぐ傾向が明らかになった。
ところが、名簿は作ったものの、肝心の住民の掲載率が低い自治体が多いことも判明。避難行動要支援者のうち同意して掲載された住民が5割未満だった自治体は、川崎(23%)、京都(13%)、熊本(12%)など27市区と、主要自治体の3分の1に上った。なかでも最低だった0・4%の大阪や相模原(1%)、千葉(4%)など1割未満が8市区あった。
こうした背景に、個人情報保護条例で、自治体が住民情報を名簿にして外部提供できるのは「本人の同意がある場合」と規定していることがある。自治体の多くは、条例に抵触しないよう、避難支援が必要な住民に広報誌や郵送通知などで名簿掲載への同意を呼びかけ、申し出を待つ方法をとっていた。その結果、掲載率が低迷し名簿の意義が疑われる状況が生じていた。
一方、民生委員らが個別訪問し同意を求めた長野市は97%と高掲載率だった。
また、同意なしに名簿への掲載や外部提供ができるよう新たに条例制定などを講じ、必要な住民を原則すべて掲載した自治体も中野、福岡など17市区あった。
YOMIURI ONLINE
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