さくっと読む最近の塾事情
わが子の受験で強い味方になってくれるのが進学塾だ。塾マーケットのトレンドを知っておくと、選択肢がグンと広がる。業界誌「私塾界」編集長、山田未知之さんに話を聞いた。
■業界を吹き抜ける提携ブーム
――今秋、駿台予備学校を運営する駿河台学園と中学受験塾の浜学園が合弁会社をつくることになりました。
【山田】ライバルの希学園が先に首都圏進出を果たしたが、期待通りの結果は出ていない。浜学園としては、単独で出る手もあったが、提携の道を選んだ。新会社は、駿台の首都圏における知名度、浜学園の抜群の教務力(指導力や教室運営力などの総合力)で難関中学を目指す塾として勝負する。
――提携ブーム、続きそうですか?
【山田】大手同士だけでなく、去年の馬渕教室と稲田塾の合併のように中堅同士のM&Aも盛ん。4~5年は続くだろう。
――塾の提携や合併で、顧客の側にメリットはあるのでしょうか?
【山田】2つの塾がそれぞれで持っていた教材、情報、コースが統合されて、厚みが出る。たとえば、価格帯のゾーンも広がる。
――通信大手のベネッセやZ会、出版系の学研が塾を買収しています。狙いは何なのでしょうか?
【山田】ベネッセの「進研ゼミ」や学研の「学研教室」では、受験期になると会員が受験塾に移るという悩みを抱えている。そこで、受験塾の買収を進めている。
――大手がバックにつくと、顧客にとっていいことがあるのでしょうか。
【山田】安心感という意味ではプラスに働くが、現時点では直接的な利点は少ない。
■中学受験、首都圏4強に続くのは?
――中学受験、高校受験に絞って、業界の動きをうかがいます。まず、中学受験は難関校の合格実績で群を抜くSAPIXのひとり勝ちに見えます。
【山田】難関中学への合格実績では、東のSAPIX、西の浜学園が揺るぎないポジションを築いている。中学受験は合格実績の出ているところにお客さんが集まる。合格実績が安心材料になる。
――他の大手塾はどうでしょうか?
【山田】四谷大塚は、教材の完成度(予習シリーズ)が非常に高い。地方では四谷大塚の教材を使っている塾が多い。また、テスト会が充実していて、中学受験の合不合判定テストだけでなく、全国統一小学生テストを半年に1回、全国規模で開催しており、全国的に見れば四谷大塚のブランド力は強くなっている。早稲田アカデミーは右肩上がりの経営を続けている。中学受験はもちろんだが、高校受験はもっと強い。早慶や難関私立高校に受からせてくれるというイメージが定着した。
――残るは日能研ですね。
【山田】最上位の子たちがSAPIXを選んでいる。そういう背景もあり、方向転換をしている。いわゆる御三家以外も目指す層を取り込んでいる。
ほかでは、個別指導のTOMASが中学受験で存在感を出し始めている。以前はダブルスクールが多かったが、このところはTOMASに絞って通う生徒が増えている。
――個別指導一本となると、塾代は相当高額になるのではないですか?
【山田】小学6年生で年間150万円というところか。ほかの大手中学受験塾でも120万円くらいはかかることもある。なんとしても希望の学校に入れたい家庭にとっては、大差はない。
――公立中高一貫校はいかがでしょう?
【山田】東京都だけでも、年間1万人が受検する。西東京地区が発祥のenaは公立中高一貫校対策に思い切ってかじを切って成功。都立中高一貫校合格者の3割以上を占める。学校によっては5割を超える。月謝はどのコースも2万円以下に抑え、通いやすくなっている。
http://news.goo.ne.jp/article/president/life/president_9333.html










