デスクランチは興ざめだ。オフィスの電子レンジで温めた前日の残り物ならなおさらだ。しかしあなたは、そのプラスチック容器に生温かいパッタイ以外のものが入っていることを懸念したことはないだろうか。プラスチックや新しい危険物質について10年以上研究を続けているアリゾナ州立大学のバイオデザイン研究所環境安全センターのディレクター、ロルフ・ハルデン博士に聞いた。
フタル酸とビスフェノールAには要注意
ハルデン博士によると、「プラスチックの成分を体内摂取して死ぬ人がいるかどうか、いるとしたらどのぐらいかは分からない」そうだ。だた、「先進国には乳がん、肥満、思春期早発症といった健康障害があるが、こうした健康障害は発展途上国では少ない。ライフスタイルの問題だからだ」と話し、その上で公衆衛生の観点からは、プラスチック容器を熱すると、溶けだした健康に害のある物質を体内に取り込んでしまいかねないため避けた方がいいと警告する。
気をつけなければならない物質は2つ
プラスチックが最初に登場したのは1900年代初頭だった。命を救う医療機器にもなればヘアー・コンディショナーには髪の柔軟性を増す薬品として入れられている。プラスチックはあらゆるところで使われているが、体内に取り込むと危ない2つの化学物質が含まれている。
まずはフタル酸類。この化合物はPVC(ポリ塩化ビニル)容器の柔軟性を高めている。熱すると溶け出してくる可能性がある。ハルデン博士は食べ物とともに体内に摂取されるとホルモンバランスを崩したり、障害児が生まれる可能性があると指摘する。ただどの程度の量で問題が起こるのかは分かっていない。先進国では血液にこれが混じっていない人はほとんどいないという。
次はビスフェノールA(BPA)だ。これはフタル酸よりも悪影響を起こす可能性がある。かつてエストロゲン(女性ホルモンの一種)の代わりになるのではないかとして研究されたこともある。透明で丈夫なポリカーボネートの大量生産に役立つと言われている。金属のカンの内側の被膜やレシートの紙にも使われている。米食品医薬品局は2012年7月に哺乳瓶にBPAを使用することを禁止した。発育を遅らせる懸念が消費者の間で高まったためだ。
プラスチック容器の底に書いてあるリサイクル番号は、健康関連情報やリスクを知らせるものではないが、その番号から中に含まれている化学物質が分かることがある、とハルデン博士。たとえば、「No.7」にはビスフェノールAが含まれている可能性が高い。あなたの机の上に、このリサイクル可能な容器に入ったミネラルウォーターは置いてないだろうか。BPAを大量に含んでいるかもしれない。
捨てる時期
電子レンジに入れた時、溶け出す化学物質の量はプラスチックの種類によって異なる。また熱を加える時間や容器の状態などによっても変わる。古くひびが入った容器や何百回も洗った容器は温めた時に溶け出す毒素が多い。変形したり変色してきたらゴミ箱行きのサインだ。
THE WALL STREET JOURNAL
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324289404578442220174750746.html










