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業界驚愕!『宇宙戦艦ヤマト2199』の新ビジネスモデルと市場開拓

昨年4月、本コラムでご紹介した日本製アニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」(1974年10月~75年3月、全26話)のリメイク版で、昨年4月7日から全国の映画館10館でシリーズもの(全7章)として先行上映が始まった「宇宙戦艦ヤマト2199」。

“ヤマト世代”ど真ん中の記者も第1章「遥かなる旅立ち」を地元、MOVIX京都(京都市中京区)で見たのですが、映画館は“ヤマト世代”の夫婦や親子連れなどで超満員。

ささきいさおさんが歌う、日本人なら知らない人はいないあの主題歌をはじめ、印象的な数々の劇中曲など、オリジナルの良さを守りつつ、最新のCG(コンピューター・グラフィックス)技術を駆使した緻密で流麗で迫力ある映像に感動してしまいました。

そして、この予想を遥かに上回る出来映えのリメイク版ヤマトに感動した人もまた、制作側の予想以上に多かったようです。当初の計画通り、今春から、映画と全く同じ内容をテレビアニメシリーズとしても放映し始めたのですが、何と、衛星放送などではなく、地上波で始まり、これがまた大変なことになりそうなのです…。

というわけで今回の本コラムは、今年、間違いなく日本のエンターテインメント界で最も注目されること間違いなしの「宇宙戦艦ヤマト2199」について再びご紹介いたします。

■幅広い世代、高い視聴率…“ヤマト祭”の予感

さて、このリメイク版ヤマト、ちょうど先週7日の午後5時からTBS系列で放映が始まりました。この通称「日5枠」は、同系の準キー局のMBS(毎日放送、大阪市)が番組制作を担当する全国ネット枠で、土曜午後6時のアニメ枠を2008年4月の改編で移動させたものですが、移動前の「土6枠」では「機動戦士ガンダム00」といったガンダム・シリーズや「鋼の錬金術師」などを放映し、人気を博していました。

そこにリメイク版ヤマトが登場したわけですが、MBSによると、この第1話の視聴率は関東が5・7%、関西は5・9%。この数字は、リメイク版ヤマトの前に放映していた「マギ」の最高視聴率(関東5・1%、関西5・5%)をいきなり超える「予想以上のかなり良い数字」だといいます。

さらに「35歳~49歳と、4歳~12歳で数字が取れています」とのこと。これはオリジナルのファンが懐かしんでいるだけでなく、彼らの子供世代にも評価されている証拠でしょう。

■「基本に忠実」ながら“逆転の発想”

そしてこのテレビシリーズ、先週見た方ならご存じと思いますが、あの主題歌が、映画版とも違う素晴らしいバージョンに仕上がっているのです。

東日本大震災をヤマトにおける地球の危機になぞらえた、ささきさんの呼びかけで集まった水樹奈々さんや中川翔子さんといった人気声優やタレントら計31組でつくる「Project Yamato 2199」が大合唱しているのですが、ハード・ロックの要素も垣間見られる現代風のバンド・サウンドのアレンジも施してあり、ヤマト世代号泣、オリジナルを知らない若い世代も燃える強力な1曲です。5月1日にCDが発売されますが、売り上げの一部は被災地に寄付されるといいます。

さて、そんなリメイク版ヤマトにエンタメ業界も大きな衝撃を受けています。なぜならこのリメイク版、これまでの常識を覆すビジネスモデルで大成功を収めたからです。

これまでは、まず漫画誌などでの連載で認知度を高めてからテレビアニメ化し“テレビ効果”でコミックスなどの売り上げを増やしつつ、映画化によってDVDを売るという流れでした。

ところが今回のリメイク版ヤマトは、いきなり映画館で上映し、それを順次DVD化、最後にテレビアニメ化するというこれまでと真逆の流れです。しかし、この挑戦的な逆転の発想が大当たりしたのです。

■団塊ジュニア以上の世代を呼び戻した戦略

映画版を担当した映画宣伝会社「エレクトロ89」(東京都)の奥野文子(あやこ)さんによると、過去4章はいずれも満員御礼で「予想を大きく上回る客足」といいます。ちなみに第1章は、上映時間を1時間(2話分)とコンパクトにまとめ、料金は1000円と敷居を低くしました。やり方が非常に上手いですね。そして客足はぐんぐん増えているようで、上映映画館数も、第3章からは2館増の12館になりました。

奥野さんは「アニメ史に残る金字塔である原作に関われることを誇りに思い、原作に恥じぬものを作り出そうとした制作側の熱意が伝わる内容に仕上がっていることが最大の成功要因」と説明したうえで「こうした作品の質の高さに加え、限定公開という形態をとり、ファンの熱気や興奮、ドキドキ感がリアルに伝わる密室的空間の創出が客足の伸びにつながった」と分析します。

無論、DVDも売れています。既に4巻まで発売されているブルーレイとDVD(1巻は2話、2巻~4巻は4話収録)はどの巻も「通常、アニメのDVDでは大ヒットといわれる売り上げ2万枚の数倍という異例のヒットを記録中」(関係者)といいます。

そして今回のリメイク版ヤマトの最大の功績は、全く新しい“アニメ市場”を創出した点にある、と言えそうです。

「大人になってからアニメ映画になど見向きもしなかった団塊ジュニア以上の世代の開拓に成功した。ヤマトは、内容さえ良ければこうした世代もお金を払ってアニメ映画を見ることを証明し、新たな市場を創出した」。多くの業界関係者はこう指摘します。

この逆転のビジネスモデル、ヤマトのように知名度と人気の高い作品でなければ成功は難しそうですが、その条件をクリアしていれば小説やテレビドラマなどでも可能です。今後、増えるかもしれません。

■世界でも稀 ♪帰ってくるぞ~の冒険譚

それにしても、長きにわたり、なぜヤマトの物語がわれわれを魅了するのでしょう?。それは「行って、帰ってくる」からです。未知の世界を旅しながら敵を倒し勝利を収めるという冒険譚(たん)はハリウッド映画をはじめ、世界中に掃いて捨てるほどありますが、出発点に帰ってくることで勝利が成立するというメジャーな冒険物語はヤマト以外、聞いたことがありません。そしてこれは、大昔、遣唐使が活躍した日本ならではの発想だと思います。

つまりヤマトの物語は、極端な話、日本人にとってはリヤカーでもヒッチハイクでも成立する鉄壁の感動ドラマなのです。だから記者はヤマトを観るたび“日本国”を強く感じてしまいます…。

さて、リメイク版ヤマトのテレビアニメ、本日14日の第2話では、遂にヤマトがイスカンダルに向けて旅立ちます。必見です。そして、映画版の第7章(最終章)の上映と、テレビアニメの完結(第26話)がちょうど重なることになりそうで、今秋には“ヤマト祭”が起きそうな気配です。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/entertainment/snk20130414517.html

 

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