新型インフルエンザ対策特別措置法が13日に施行された。特措法には、政府が緊急事態を宣言した際には、住民に外出自粛などを求めることができる規定が盛り込まれた。いつ発生してもおかしくない新型インフルや新たな感染症に対し、“備えあれば憂いなし”として、影響を最小限に抑えるべく万全の構えで臨むことを狙った特措法。一方で個人の自由や権利の著しい制限にもつながりかねないだけに、慎重な適用を求める声も出ている。
新型インフルの流行により、緊急事態が宣言されると可能となるのが、都道府県知事による住民への外出自粛の要請だ。区域を定めた上で、生活の維持に必要な場合を除き、外出しないよう要請できる。遊興施設などに使用制限を求めることも可能だ。
対象は、原則1千平方メートルを超える面積を持つ体育館や映画館、劇場など。罰則はないが、知事は施設に入場制限や一時休業などを要請できるほか、施設側が協力要請に応じない場合、施設名を公表して協力を指示できる。また、学校や保育所などの感染リスクが高い施設へは、一時休校などが要請できる。
一方、病院、銀行、飲食店など社会生活に必要な施設については、一律に休業すると、生活が混乱する恐れがある。そのため、手を消毒する設備を作ったり、入場者にマスク着用を呼びかけたりといった措置を要請できる。また、臨時の医療施設を開設するため土地や建物を強制使用することも可能だ。医薬品や食料などの必要物資の売り渡しを正当な理由なく拒んだり隠したりした業者には、30万円以下の罰金などの罰則規定も盛り込まれた。
ただ、日弁連は昨年3月、「人権に対する過剰な制限がなされる恐れがある」と特措法への反対声明を出した。一方、自治医大病院の森沢雄司感染制御部長は「施設の使用は制限し、通勤電車は走らせていいのか。感染防止の実効性には不安がある」と指摘する。こうした声に内閣府は「患者をゼロにするのは不可能。社会を動かしながら、患者数を抑えていく。そのための法律だ」としている。
産経新聞
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20130413115.html