学校での楽しい給食の時間に、子供の食物アレルギーによる事故をいかに防ぐか。
新学期が始まったのを機に、教育現場は改めて給食の安全対策に万全を期してもらいたい。
卵や牛乳、小麦、落花生、エビ、カニなど特定の食べ物を口にすると、湿疹、呼吸の乱れなどの症状が表れるのが食物アレルギーだ。血圧低下や意識障害を引き起こし、命を落とす危険もある。
文部科学省の調査によると、全国の児童・生徒の2・6%に食物アレルギーがある。ほぼクラスに1人の割合である。
給食でアレルギーの原因食材を誤って口に入れ、治療を受けるケースは増加傾向にある。2011年度には300件を超えた。対策の徹底が急務だ。
東京都調布市の市立小学校では昨年12月、乳製品にアレルギーがある5年生の女児が死亡する事故が起きた。市教委の検証委員会が3月にまとめた報告書は、学校のミスの連鎖を指摘している。
学校は女児に、アレルギーの原因のチーズを除いたおかずを出した。だが、女児がお代わりを求めると、担任教諭はチーズ入りのおかずを配ってしまった。その際、担任は、女児が食べられない食材の一覧表を確認すべきだった。
さらに、女児が体調不良を訴えた時、担任教諭、養護教諭とも、アレルギーのショックを和らげる注射薬を打たなかった。
この学校では、3か月前にも別の児童が給食でアレルギーを起こし、その後、教職員向けの研修を実施していた。教訓を生かせなかったことが何とも悔やまれる。
悲劇を繰り返さないためには、学校が保護者や医師と連携して子供の症状を正確に把握し、きめ細かな対応をとることが大切だ。
アレルギー対策を巡っては、文科省監修の指針が2008年に作られたが、学校ごとに、対応に差があるのが現状と言える。
給食の食材リストをあらかじめ保護者に配布する。アレルギーのある子供用の献立を工夫する。各校がこうした基本的対策の総点検を行うことが重要である。
保護者も日頃から子供に「何を食べてはいけないか」ということを繰り返し教える必要がある。
子供がアレルギー反応を起こした場合、初期対応がカギを握る。教職員が注射薬を適切に投与できるよう訓練を重ねるべきだ。
文科省は今後、全国の取り組み状況を調査する。問題点を洗い出し、事故防止につなげたい。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/education/20130408-567-OYT1T01593.html