中国に進出している日本企業では、駐在員や出張者の安全確保に向け、対応に乗り出す動きが相次いでいる。6日までは先祖の墓参りをする祝日「清明節(せいめいせつ)」に伴う3連休。各地は多くの人出でにぎわっており、感染拡大を懸念する声も上がっている。
感染者の多くは日本企業が拠点を置く沿岸部に集中しており、注意喚起を徹底する企業も多い。感染者が出た上海市や江蘇省南京市などに拠点を持つ家電大手「シャープ」(大阪市)は、現地法人や出張予定の社員向けにメールや社内ウェブ上で「市場では鳥に触ったり近づいたりしない」ことなどを伝達。さらに「清明節なので各地で人混みができているかもしれず、外出する際はマスクを着用するよう呼びかけた」という。
中国で幅広く店舗展開するセブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区)は、うがいや手洗いの励行に加え、体調が悪くなった場合は速やかに検査を受けるよう促すなど、社員の健康管理に注意を払っている。
駐在員数が少ない中小企業は対応の難しさに困惑気味だ。「感染が広がれば、新たに人員を現地に送ることもできない。そのときは休んでもらうしかない」。江蘇省無錫(むしゃく)市の現地法人に日本人社員2人が駐在する家電器具製造会社「日本ジー・ティー」(目黒区)の担当者は漏らす。通常の風邪と同じ対策は呼びかけているが、「予防接種をした方がいいとなれば別だが…。感染を防ぐよう注意するしかない」と話す。
一方、旅行会社は外務省による渡航制限が出ていないことから、多くは特別の対応を取っていない。
外務省では、鳥との接触回避や体調悪化時の受診など注意喚起にとどまっている。同省は「まだウイルスの特異性や感染経路が分かっておらず、何か分かり次第、内容の追加を検討する」とした上で、「清明節による人の移動でウイルス感染が拡散する恐れもある。連休明けの状況を注視したい」と話した。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130406/bdy13040600010000-n1.htm