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いのちをつなぐ:/1 気づいてやれたら… 県内の自殺率、依然深刻 /新潟

「お父さん(男性の名前)と名付け苦労し一生懸命に育ててもらいありがとうございました

お父さんの思うように育たなくいまだに苦労や心配を掛けることになり大変申し訳ありません
頭が悪く仕事が見つけられなくて悩み苦しみ焦っても仕事がない状況が続き生活していても不安な日々のくり返し精神的に疲れてしまいました
安定した収入がなく生活能力のない様では生きている価値もなく生きる希望もなくし死ぬしかないと馬鹿な考えをしてしまいました
力不足で乗り越えられなく至らぬ私でしたが勘弁して下さい
(中略)
皆様今までお世話になりありがとうございました」(原文のまま)
昨年3月、県内に住む男性(当時47歳)が自殺する直前に書いた遺書。自宅で2人暮らしをしていた男性の父親(74)が男性の部屋の机の上にあるのを見つけた。「一生懸命書いたのだろう。どんな気持ちだったのか」。父親は1年たった今も遺書を読み返す。
男性は職業訓練校を卒業後、建設会社に入社し20年以上勤めたが、新しい上司と折り合いがつかずに11年4月ごろに退職した。その直前に母親は病死し、父親と2人暮らしになった。
高齢の父を心配し、約1年間ほぼ毎日、ハローワークで自宅から通える職場を探したが、条件に合う仕事は見つからなかった。「そんなに焦らなくてもいい」。父親は男性をこう諭していた。だが、男性は少しずつ追い詰められていった。
母親の一回忌を終え、父親が「これで海でも山でも釣りに行けるな」と声をかけると、男性が「もう行けないよ」と答えたのを覚えている。特に気にも留めなかった。3日後、男性は自宅の車庫で首をつって命を絶った。
今から思い返すと、かすかではあるが兆候はあった。男性が趣味の釣り道具を複数の知人に譲っていたことを自殺後に知った。また、いつも買い物を一緒にしている人に自殺前日、「これで(買い物は)最後だから」と言っていたことも分かった。自分の決意を語ったのか、あるいはだれかに止めてほしかったのか。男性の真意は分からない。だが、父親は「だれかが気づいてやれたら……」と悔やむ。
息子が亡くなった直後、父親は一睡もできず不眠にさいなまれた。だが「目を背けるよりも直視しないといけない」と息子が生きた意味を考え続けている。
◇  ◇  ◇

県の人口動態統計によると、11年の自殺者数は651人。交通事故死亡者の約5倍の人が自ら命を絶っている。人口10万人当たりの自殺者を示す自殺率は27・7人(全国平均22・9人)で、前年の28・6人より数値は改善したものの、順位は全国ワー

スト4位から悪化して3位となり、依然深刻な状況が続いている。ここ数年、行政や民間は自殺防止対策に本腰を入れており、その効果もあって自殺者数自体は減少傾向にある。自ら死のうとする命を何とかつなぎ留めようとする人々を追った。=つづく
3月26日毎日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130326-00000118-mailo-l15

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