東日本大震災から2年。防災や備蓄の意識は高まっている。ただ、いざというときに必要となる備えは人それぞれ。何が必要かを見極め、自身や家族に合った備えをしておきたい。
◆日常品を活用
NPO法人「日本防災士会」常任理事で災害心理士の半田亜季子さんは、普段からウエストポーチに約40種類の「備え」を用意している。常備薬や使い捨てカイロ、ゼリー状の補水液のほか、小型ライト、IDカードが入れられる笛などだ。これら全てが約30センチのポーチに収まる。「かさばらない、軽い、持ち運びやすい。携帯用の防災用品はこの3つが大切」と半田さんは言う。
2年前の震災発生時は都心におり、千代田区の施設で一夜を明かした。その経験から「必要なものや役に立つもの」を改めてピックアップ。寒さ対策のためのカイロやアルミシートに加え、ファスナー付きポリ袋、手のひらサイズの空気清浄機、携帯電話充電器といった普段から使えるものも含まれる。「ファスナー付きのポリ袋は例えば、避難先で配られる食料を保存できる。使い慣れているものだからこそ、いざというときもすぐに活用できます」(半田さん)
普段使いのもので非常時に備えることは見落とされがちだ。だが、いざというとき、使い慣れないものや食べたことがないものは活用できない。『市販の防災セットを購入して終わり』ではなく、自分や家族に合わせてアレンジすることが大切だ。「自分で詰めてみると、必要なものが明確になる。アイデアひとつでいろいろなものが活用できる」と半田さんは話す。
◆必要なもの見極め
こうした傾向は売り場でもうかがえる。さまざまな防災用品がそろう東急ハンズ新宿店(東京都渋谷区)。売り場担当の福谷駿さんは「震災以降、防災セットよりも個別の商品に対する問い合わせが増えた。多くの人が自分に必要なものを見極めたうえで、そろえているのでは」と分析する。
売れ筋は非常食のほか、折りたためるヘルメットや防寒用のアルミシート。ヘルメットは両脇を押して広げるもので、軽い素材だが安全基準を満たす。アルミシートはたたむと10センチ四方ほどの大きさになり、普段から持ち歩くのにもかさばらない。
非常食ではようかんが人気だ。日持ちし、少ない量でカロリーが補給でき、普段からなじんでいるためか、高齢者を中心に買っていく人が多いという。福谷さんは「ご飯などはお湯なら30分でも、水だと戻すのに2倍かかるというものもある。賞味期限を確認し、切れてしまいそうなら一度食べてみては」とアドバイスしている。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/education/snk20130319509.html