東京電力福島第1原発事故で役場ごと埼玉県加須市に避難している福島県双葉町の現実を知ってもらおうと、新潟市中央区の市立中央図書館で、ドキュメンタリー映画「フタバから遠く離れて」の上映会があり、市民ら約250人が来場した。この日は、舩橋淳(ふなはしあつし)監督と双葉町民による対談もあった。
同作品では、加須市旧騎西高校での避難所生活や、一時帰宅など町民の日常生活を通じて、町に帰れない苦悩や原発への思いを描写している。
対談で舩橋監督は「今も133人が旧騎西高で避難生活を送る。日本に原発難民が生まれている事実を認識する必要がある」と述べた。さらに「映画を通じて、原発の安全神話の裏側で、町民が犠牲になったように、不平等なリスク分散が存在していることを伝えたかった」と語った。
来場した福島県楢葉町から新潟市西区に避難している渡辺光明さん(60)は「映画を見て切なかった。町に戻れないことにみんな苦しんでいる」と思いを吐露した。同市東区の大学教員、本間善夫さん(59)は「原発事故は繰り返すかもしれない。危機意識を持ち、何が大切なのかをもっと議論する必要があると感じた」と話した。
3月10日朝刊
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