現在、スマートフォンユーザーの間で、文字だけでなく音声を活用したアプリの人気が急拡大している。音声検索などはもちろん、音声コンテンツを楽しめるサービスも増えており、このようなユーザー動向に合わせたアプリも数多く登場している。
中でも注目なのが、異性の魅力的な”声”をスマートフォンで楽しむことができる「”声萌え”アプリ」と言われるものだ。現在ユニークなコンセプトの”声萌え”アプリが多数登場しており、若い男女を中心に人気を集めている。その背景や人気アプリの傾向などについて、トレンド総研のレポートを元にまとめた。
● 見直される”声”のコンテンツとしての価値
トレンドに詳しい商品ジャーナリストの北村 森氏によると、これまで携帯電話における「音声」と言えば「通話機能」を指すことがほとんどだったが、ユーザーのスマートフォンシフトが加速しているのに伴い、音楽のダウンロード、音声付きの動画やアプリの視聴など、音声の活用の幅が大きく広がっているという。「スマートフォン自体も、本来は『電話』というカテゴリーに位置するものだが、実際には『通話』だけではなく『コンテンツ』や『サービス』において音声が楽しまれることが増えている」(北村氏)。
また北村氏によると、現在”声”そのものが持つ「コンテンツとしての可能性」も見直されているのだという。そもそも、”声”というものは、人間のイマジネーションを働かせてくれたり、心地良い気持ちにさせてくれたりと、コンテンツとして非常に魅力を有するのだ。
例えば最近は、ある大手メーカーの ETC 車載機に有名な声優の声が使われていることが話題になった。これは、人間が魅力的な”声”を潜在的に求めており、”声”によって新たな商品付加価値が生みだせるということを示唆している。”声”が「コンテンツ」として活かしやすい素材であることも徐々に認知されており、「特に、異性の魅力的な”声”にフォーカスしたものはコンテンツとして興味を持たれやすく、”声萌え”という新しいジャンルが形成されつつあるといっても過言ではない」と北村氏は分析する。
● “声萌え”コンテンツはスマホとの相性抜群 今後はライトユーザーに拡大も
北村氏によると、この”声萌え”コンテンツは、特にスマートフォンとの相性が良いという。「”声萌え”コンテンツは、個人の好みにかかわる要素が強く、大勢で楽しむというよりは、1人でじっくり楽しむタイプのもの。そのため、スマートフォンというパーソナルな機器は、”声萌え”コンテンツを楽しむ上で、非常に適している」と北村氏。今後、スマートフォン向けの”声萌え”コンテンツは、更に注目されていくだろうとしている。
実際に、すでにスマートフォンアプリの分野では、”声萌え”の要素を取り入れたコンテンツが多数登場している。これまで”声萌え”のコンテンツは、「コアな趣味を持った人向けのもの」というイメージが強かったが、スマホアプリの場合は、パーソナルな空間で手軽に楽しめるだけに、心理的なハードルも下がる。北村氏は、「一般のライトユーザーの中でも、アプリを通じて “声萌え”を楽しむ動きは、さらに増えていくのでは」と予想している。
● いま話題の”声萌え”コンテンツは?
それでは、現在スマートフォンユーザーには、どのような”声萌え”コンテンツが人気なのだろうか。具体的なヒットアプリを紹介しよう。
・豪華声優陣による本格的な”声萌え”が楽しめる「ガールフレンド(仮)」
学園カードゲーム「ガールフレンド(仮)」は、とある学園を舞台にさまざまなタイプの女の子との出会いを楽しみながら、数々の試練に挑んでいくというコンセプトのスマホゲーム。
登場する女の子たちのボイスを、堀江由衣さん、原田ひとみさん、戸松遥さんといった総勢60名以上の声優陣が担当しており、キャラクターデザインの可愛らしさやゲームのわかりやすさなどと相まって、ファンを増やしているという。

60名以上の声優陣がキャラクターの声を担当する「ガールフレンド(仮)」
・美少女が本を朗読する「朗読少女」

100万ダウンロードを突破した「朗読少女」
読書エンターテインメントアプリ「朗読少女」は、自分が選んだ本を、制服を着た少女が朗読してくれるというアプリ。2013年3月現在で累計ダウンロード数が100万を突破しているほか、昨年10月には公式ガイドブックも発売されるなど、非常に高い人気を集めている。
このアプリでは、キャラクターの朗読中に挿絵が表示され、ワンタッチで早送り・巻き戻しができるほか、気になったところには付箋の設定も可能。加えて、画面上で少女とのコミュニケーションが楽しめるほか、好感度によってキャラクターの反応が変わってくるなど、育成ゲーム的な要素があるのも人気の要因になっているようだ。
・計算結果を美少女が読み上げる「電卓少女」
電卓アプリ「電卓少女」は、その名の通り、かわいい少女が電卓で叩いた数字や計算結果を、アプリのキャラクター『阿僧祇なゆた』が声で教えてくれるというアプリ。単純に電卓で計算するだけでなく、コスチューム、背景画像の変更、キャラクターとの友好度をアップさせるといった遊び方も楽しめる。
日常的に使えるユーティリティーアプリに”声萌え”の要素を追加するという意外性が注目を集めているようだ。

電卓アプリ「電卓少女」
このように、ゲーム、エンターテインメント、ユーティリティとあらゆるジャンルのアプリに”声萌え”のトレンドが広がっている。スマートフォンの楽しみ方の方向性のひとつとして、ユーザーからの注目も今後一層高まりそうである。
http://news.goo.ne.jp/article/internetcom/trend/internetcom-20130308007.html