全国の法務局が昨年、人権侵害の疑いがあるとして救済手続きを始めた件数が「学校でのいじめ」「教職員による体罰」とも統計を始めた01年以降では過去最多に上ったことが1日、法務省人権擁護局のまとめで分かった。いじめは前年比21%増の3988件、体罰は同33%増の370件だった。
同局は「大津市の事件でいじめについての関心が高まったことや、法務局の人権擁護活動の認知度が上がった影響だと思うが、いじめや体罰の実数が増えているかどうかまでは不明」としている。
救済手続きは、法務局が被害相談を受けて実態について調査し、人権侵害をした本人に改善を求めたり、刑事告発をしたりするなどの「措置」を取ることができる仕組み。
昨年1年間で実際に行われた救済手続きの完了件数は学校でのいじめが3920件。このうち学校と連携しながら被害児童・生徒をケアする「援助」は3865件で、学校と被害者の親の間で「調整」を行ったのは13件だった。いじめをした本人への勧告や捜査機関への告発はなかった。
同じく、体罰に関する手続きの完了件数は348件。学校側に必要な措置を求めた「要請」は105件、人権侵害に当たるとして体罰をした本人に改善を求める「説示」が93件あった。
児童に対する暴行や虐待に関する救済手続きを始めた件数も873件で過去最多。インターネット上の書き込みを巡る手続きの開始件数は671件で過去2番目に多かった。
人権擁護局は「子どもの人権110番」(全国共通0120・007・110)や各法務局の人権相談所の活用を呼びかけている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130301-00000036-mai-soci