大気汚染の原因とされる微小粒子状物質「PM2・5」が中国から飛来している問題で、環境省は27日、専門家会合を開き、環境基準値の2倍を超えると予測される日に、都道府県が住民へ外出の自粛などを注意喚起することを柱とする指針を決めた。法的な警報や注意報には当たらない暫定的なものとしている。
指針は、1日平均のPM2・5濃度が国の環境基準である大気1立方メートル当たり35マイクログラムの2倍に当たる70マイクログラムを超えると予測される場合、都道府県が注意喚起する。判断の目安は、早朝の濃度が85マイクログラムを上回ったときを想定。これまでの観測から、この濃度を上回れば1日平均濃度が70マイクログラムを超えることが多いという。
注意喚起として「行動の目安」を挙げ「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす」とした。特に心臓や肺に持病のある人や高齢者、子供ら影響を受けやすい人は「体調に応じて、より慎重に行動することが望まれる」とした。通常のマスクや空気清浄機の効果は、製品により異なると紹介した。
環境省によると、全国の住宅地などにある一般測定局200近くのうち、1日平均濃度が1カ所でも70マイクログラムを超えた日数は平成22年で7日、23年で12日。同省は「注意喚起が必要になるのは、おおむね年間10日になるだろう」としている。
また、注意喚起の指針として環境基準の35マイクログラムを採用しなかったことについて、専門家会合の座長を務める京都大の内山巌雄名誉教授は「環境基準は、人の健康を保護する上で維持が望ましいレベルであり、超えたら直ちに影響が出るわけではない」と説明した。
【用語解説】PM2・5
大気中に漂う微粒子のうち直径2・5マイクロメートル以下と特に小さいもの。髪の毛の太さの30分の1と、通常のマスクも通してしまう。主な発生源は工場の煤煙(ばいえん)や車の排ガスで、大量に吸い込むとぜんそく、肺がんなどの健康被害が懸念されている。国の環境基準は大気中の濃度を1年平均で1立方メートル当たり15マイクログラム以下、かつ1日平均で同35マイクログラム以下が望ましいとしている。
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