[ カテゴリー:子ども, 生活 ]

読めない名前、犯罪への自衛策?

今どきの「名づけ」事情 読めない漢字ばかりなのはナゼ?

「近きころの名には、ことにあやしき字、あやしき訓有て、いかにともよみがたきぞ多く見ゆる」。本居宣長も『玉勝間(たまかつま)』で嘆いてみせたように、読みにくい名前は昔から相当あったものかと思われる。ただそれにしても最近の例は、ちょっと度が過ぎてはいないだろうか。

明治安田生命保険が発表した平成24年生まれの赤ちゃんの「名前ランキング」では、難読の名前が上位にずらりと並んだ。一部を読み例とともに挙げてみると大翔(はると)、大和(だいや)、陽菜(ひなた)、心春(こはる)…。漢字の音訓や字義から推測するだけでは、とても読めないものばかりだ。病院などで読み違いによる混乱が起きたりはしないかと、いささか心配になる。

テレビの情報番組でも、ある保育士が「名簿は平仮名で書く。書類でたまに漢字を見ると、この子は誰ってことになる」と話していた。日本人が日本人の名前を容易に読めないとは困った話で、外国人の目にはさぞかし不思議に映ることだろう。

そもそも名前というのは、両親らから子供への最初にして最高の贈り物であり、子供はそれを一生大切に守り続ける。子供への願いや夢が託されたであろう名前の漢字は、当然ながら重い意味をもつもののはずだが、今では保育士が語ったように、漢字はまるで「読み」の添え物みたいになってしまった。

式亭三馬は『浮世風呂』で、「なもほねぎよ」「ちやまが」「おツかア」の左横にそれぞれ「南無妙法蓮花経」「茶釜」「母親」と振り仮名、いや振り漢字を添えたが、それとどこか似ていて漢字と読みの“主客”が明らかに転倒している。

と、そんなことを考えていたら、同じ番組で次のような声が続けて紹介され、驚いた。名づけに際してはインターネットで検索し、同姓同名の人が複数いることを確認したうえで決めるのだという。犯罪に巻き込まれないためだそうだ。

本来、他と識別するため個々人に与えられる固有の呼称が「名前」である。個人が名前によって識別され特定されるからこそ、病院でも誤認が起きず、個々の患者に適した医療が施される。それなのに同姓同名の人がいることで安心を得るとは…。そこでふと思い出したのがA・シュワルツェネッガー主演の映画『ターミネーター』だった。

未来から現在に送り込まれた殺人ロボットが、「サラ・コナー」という名の女性を殺害しようとして電話帳で住所を確かめる。が、同姓同名が何人かいたため、片っ端から「サラ・コナー」を殺していかざるを得ず、おかげで標的とされた女性は危機を免れたのである。

映画では「個人が特定されることの恐怖」に震え上がったわけだが、それがまさか現実のものになろうとは不覚にも考えが及ばなかった。昨今では個人情報の漏洩(ろうえい)・悪用、振り込め詐欺などの悪質な事件が頻発しており、名づけ親は、固有名詞であるべき名前から固有性をなくすことに心を砕かねばならなくなった。

他人にはさっぱり読めない名前をつけるのももしかすると、万が一の際でも悪いヤツらに「読み」までは悟られまいとする自衛策なのかもしれない。そしてもしそうだとすれば今どきの「名づけ」には、「漢字の読みのルール」といった問題などよりずっと深刻な、社会不安の影が横たわっていることになる。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20130217516.html

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