[ カテゴリー:医療, 子ども ]

給食でアレルギーの女児死亡…事故を繰り返さないためには

■ヒューマンエラーを前提に危機管理必要

東京都調布市立小学校で昨年末、乳製品にアレルギーのある小学5年の女児=当時(11)=が給食で誤ってチーズ入りチヂミを食べ、アナフィラキシーショックとみられる症状を起こし、死亡した。食物アレルギーのある小中学生は約15万人といわれ、多くの学校が給食で除去食対応を行っている。事故を繰り返さないためにどうすればいいのだろうか。(平沢裕子)

◆献立に問題

同市教育委員会によると、女児は乳製品に食物アレルギーがあるため、給食は乳製品を除去したものが提供されていた。亡くなった日の給食の献立は「わかめごはん、じゃがいものチヂミ、ナムル、肉団子汁」。じゃがいものチヂミにチーズが入っており、これを食べ、アナフィラキシー症状を起こしたとみられる。本来の給食では女児用にチーズが除去されたチヂミが用意されたが、おかわり用のチヂミを食べたことが事故につながった。

関係者によると、女児は乳製品のアレルギーについて理解していたという。その女児がなぜ、アレルギーの原因食材であるチーズを口にしたのか。事故の経過を見ると、おかわり用のチヂミを女児に渡した担任教諭も、食べた女児も、チーズが入っていたことに気づいていなかった可能性が高い。

国立病院機構相模原病院臨床研究センター・アレルギー性疾患研究部の海老沢元宏部長は「普通はチヂミにチーズは入れない。今回、チヂミの生地に粉チーズが練り込まれていたが、普通は入れない食材を見えない形で入れることは誤食につながる」と指摘し、ヒューマンエラーが起きることを前提にした危機管理対策の必要性を説く。

今回の事故では女児が「気持ちが悪い」と訴えた後の対応のまずさも指摘されている。女児はアナフィラキシーショックの症状を抑える自己注射薬「エピペン」を携帯しており、担任は女児に「これ打つのか」と尋ねたが、「打たないで」と言われ、ためらった。

エピペンは症状が出てからなるべく早い時間に打つ必要があるが、駆けつけた校長が注射したのはその約10分後。ただ、「エピペンは患者自身が打つもので、医師でない人が打つのは難しい。女児も担任も当初は誤食に気づいていなかったことが対応の遅れにつながったのだろう」と海老沢部長。

今後、同様のことが起きた場合、エピペンはためらわず打った方がいい。エピペンはアドレナリンを投与するもので、万一、不必要に打った場合でも副作用は頭痛や嘔吐(おうと)など軽症で一過性で済むという。

◆対応学んで

今回、養護教諭が、自力で立てない女児を背負ってトイレまで連れていったのも問題だ。

アナフィラキシーショックを起こしているとき、背負ったり座らせたりした姿勢で動かすのはやってはいけない。あおむけに寝かせるなど安静にして救急車を待つのが望ましい。

日本学校保健会は食物アレルギーによるアナフィラキシーの対応マニュアルを作成、教育委員会などを通じて各学校に配布することになっている。ただ、自治体や学校ごとで活用状況は異なり、全ての先生がマニュアルに沿った対応ができないのが現状だ。

海老沢部長は「知ってほしいのは食物アレルギーを持っている人は誰でもアナフィラキシーを発現する可能性があるということ。子供たちの命を守るため、学校関係者はアレルギーについて正しく理解し、危機管理をしっかりしてほしい」と話している。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/education/snk20130202513.html

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