部活動での指導がトラブルに発展するケースは後を絶たない。学校関係者からは「数多くの問題が起きても、いまだに体罰を行う顧問も少なくない」との指摘もあり、部活動の指導をめぐり、生徒が自殺する事例は過去にも起きている。
平成6年11月には、「おまえなんかチームに必要ない。練習をやめて帰れ」と叱責された大阪府羽曳野市の市立中学2年のソフトボール部員の女子生徒=当時(13)=が自殺。学校側が「部活動の指導の行き過ぎが原因」と認めた。
また、14年3月には、群馬県高崎市の東京農大第二高校2年のラグビー部の男子生徒=当時(17)=が自殺。両親は長時間の練習と監督らの厳しい指導で過呼吸を発症して自殺に至ったとして、慰謝料などを求めて提訴し、17年に学校側が部の指導で安全や健康管理に気を付けるなどの条件で和解している。
そもそも体罰の禁止は学校教育法11条で規定。文部科学省は19年に「いかなる場合においても行ってはならない」と通知を出すなど繰り返し体罰禁止の徹底を求めているが、体罰が無くなる兆候はみられない。
文科省の調査によると、過去10年間、体罰で処分された教職員は400人前後とほぼ横ばい。23年度は404人(うち126人が当事者として懲戒処分)が処分されている。このうち4分の1以上は部活動に絡んだ事例だったという。
内訳は中学校180人(44・6%)▽高校139人(34・4%)▽小学校81人(20・0%)▽特別支援学校4人(1%)-で、中学校が最も多かった。
文科省の担当者は「指導に熱が入りすぎたり感情的に押さえられず体罰を行う教師がいる。日頃から研修などを通して徹底しているが、それでも体罰が発覚する。体罰を行う教師を一人でも減らすよう指導を続けていきたい」と話した。
大阪市教育委員会でも11年、「体罰防止に向けて」とする教職員向けの指導資料を作成。その後、児童生徒への指導で教職員が手を出す行為がどこまで許されるかを示す独自の手引きの作成を検討している。
この手引きは、問題を起こした生徒に対する「懲戒行為」と体罰の区別を明確化させる狙いがあるといい、橋下徹市長は昨年10月、「体罰を認めるわけにいかないが、もみあげをつまんで引き上げるくらいまでならいい」などと独自の見解を示していた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130108/edc13010821390001-n1.htm
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