[ カテゴリー:環境, 社会 ]

あの「地球温暖化」熱どこ!世界CO2総排出量が最高、新政権は取り組め

16日は衆院選の投開票日。新たな政権の枠組みが生まれます。というわけで今回の本コラムはいつもと趣向を変え、新政権にぜひ取り組んでもらいたい事柄と、それに関連する重要なニュースについてご紹介したいと思います。

なぜなら、今回の衆院選では12もの政党が乱立し、さまざまな公約を訴えてきましたが、この事柄についてはどの政党も完全無視。さらに、それに関連するニュースについても、記者はかなり重要だと思うのですが、日本ではほとんど話題にものぼらないからです。

その問題とは、日本でもゲリラ豪雨といった異常気象を世界各地で引き起こす「地球温暖化」です。ロイター通信やフランス通信(AFP)が11月13日に報じていますが、昨年1年間、世界中から排出された「地球温暖化」の主要因、二酸化炭素(CO2)の総量は前年の2・5%増の340億トンで、過去最高を記録したというのです。

1997年12月の京都議定書では、強制力はないものの、先進各国にCO2に代表される「温室効果ガス」の排出削減を義務づけるなど、これまで世界的規模でCO2削減のためのさまざまな取り組みがなされてきましたが、こうした努力が全く報われていなかったのです…。

原因はいたってシンプルです。先進国が「みんなで減らしましょう」と頑張っているのに、全く聞く耳をもたない国がいるからです。

■犯人は中国!そしてインド……日本も?

12月2日付AP通信が、昨年のCO2の国別排出量のベスト10を報じています。1位はやっぱり中国で前年比10%増の100億トン。2位は米国で前年比2%減の59億トン。3位はインドで前年比7%増の25億トン。4位はロシアで前年比3%増の18億トン、5位は日本で前年比0・4%増の13億トン、6位はドイツで前年比4%減の8億トン、7位はイランで前年比2%増の7億トン。以下、8位韓国、9位カナダ、10位南アフリカでした。

数字を見れば明らかですが、1位の中国は2位の米国の何と1・6倍。対前年比伸び率も総排出量もダントツの1位です。そして2位の米国。京都議定書から離脱し、非難を浴びてはいますが、数字を見る限り前年比で2%減らしています。そのため、欧米メディアはこぞって中国と、前年比伸び率が高いインドについて、名指しで批判的に報じています。

ロイター通信とAFPが報じた数字はいずれも、ドイツに本部がある民間シンクタンク「国際経済フォーラム再生可能エネルギー(IWR)」の発表を引用したものですが、世界のCO2排出量は2009年、リーマン・ショック後の世界的な景気低迷で一時減少したものの、再び上昇に転じているといいます。ちなみに昨年の全世界での総排出量340億トンという数字は、1990年の何と約50%増だそうです。

■まもなく400億トン

IWRのノルベルト・アルノホ所長は「この傾向が続けば、世界のCO2排出量は2020年までにさらに20%増の400億トンに達するだろう」と警告しています。

さらに12月2日付英BBC放送が、英科学誌ネイチャーの姉妹誌「ネイチャー気候変動」の調査結果を引用して報じていますが、今年の全世界のCO2の総排出量の見込みは、昨年よりさらに増え、前年比2・6%増の356億トンで過去最高を更新。90年に比べて58%増を記録するというのです。

「ネイチャー気候変動」によると、石炭や石油燃料の燃焼により、全世界ではいまも毎秒、約110万キロものCO2が排出されているといい、一向に減る気配はありません。

英イースト・アングリア大学で世界の気候変動の調査を担当する「ティンドール・センター」の責任者もBBCに対し「最近の気候変動の激しさに憂慮しています。(CO2の排出量を減らすため)われわれには大胆なプランが必要です」と訴えました。このセンターの調査結果によると、世界のCO2総排出量の平均増加率は80年代が1・9%で、90年代は1・0%に減りましたが、2000年代に入り、中国やインドのせいで3・1%と大幅に増えました。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、18世紀後半に英国で産業革命が始まって以来、大気中のCO2の量はどんどん増えており、現在、その総量は産業革命前夜より41%も増えており、地球の温度は1850年以来、華氏約1・5度上昇しているといいます。

■日本も2回、不名誉な「化石賞」

ちょうど欧米主要メディアがこぞってこのニュースを報じていた頃、中東カタールのドーハでは、地球温暖化の防止を目的とした国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)が開かれていました。

約190の国・地域が参加したこの会議は、京都議定書を来年1月から8年間継続する改正決議を採択するなどして今月8日(日本時間9日未明)、閉幕しました。京都議定書が定めた第1段階の目標期間(2008年から今年まで)の終了に伴い、来年1月から2020年までを第2段階の目標期間と定めたのでした。

ところがこの第2段階の目標期間に参加してCO2に代表される「温室効果ガス」の削減義務を負うのは、欧州連合(EU)やノルウェー、スイスなど一部の先進国だけで、日本やロシア、ニュージーランドなどは「先進国のみに削減義務を課すのは経済などへの影響が大きい」として参加を拒否したのです。

そんな日本は今回のCOP18で、交渉に際し後ろ向きな発言をした国に贈られる不名誉な「化石賞」を2回も受賞してしまいました。世界からは地球温暖化問題を軽視していると思われているのです。

いちいち具体例は挙げませんが、確かに日本国内では国の将来に関わる難題が山積です。しかし、だからといって、世界が立ち向かうべき難題である「地球温暖化問題」を軽視して、ちまちま日本国内ばかり気にしている“内向き”の姿勢では何事も解決しないと思います。国論を2分するエネルギー問題も地球温暖化や環境保護の問題と密接に関連しています。

新政権には「世界の中の日本」という視点で、世界に目を向け、物事を大局的に考えてもらいたいものです。そうすれば日本が抱える難題を乗り切る方策も自然と見えてくるのではないでしょうか…。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20121216539.html

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